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  • 「腹落ちする経営ビジョンと実行力を伴う中期経営計画」の策定

2014.03.04

【ホコリ(埃)を被った経営ビジョン】
 “Vision” その語源は “ vis「見る」” + “ion「すること」” であり、ひとことで言えば「見えること」となるが、貴社の「経営Vision」は社員に見えているだろうか? 

 確かに受付や、応接室に入ると額縁に入った誇らしげな「経営Vision」を目にすることが多い。しかし、我々の調査によると、「経営Vision」は社員に見えていても、“受け入れられているケースは多くはないようである。この事は経営者を苛立たせ、悩ませる一因になっている。それでは、受け入れない、あるいは受け入れようとしない社員側に問題があるのだろうか?

想いは省略されて伝わる

 「経営Vision」は社長、役員、管理職、一般社員に関係無く同じものを見ているはずである。少なくとも「言葉」で表されているものはそうである。また、営業拠点を多数持っている大手企業であれば各支店や営業所の壁に「経営Vision」を掲示し、DVDやストリーミングで社長メッセージを発信しているところも少なくない。しかし、このような努力をしても、社員に受け入れられる事は少ないのである。

 それは何故か?・・・その答えは現場にある。現場のリーダークラスにインタビューを行うと「経営Vision」は文字や映像として社員に届いているのは間違いなさそうであるが、それらから『心を動かされるような感触』を得る事は少ないという回答が多い。

 また、伝わっているのは業績目標を表した「数値情報」と、綺麗に体裁を整えられたフレーズ、すなわち「文字情報」であり、「何故、そのような経営Visionを目指したいのか?」 「目指そうとしているのか?」「経営Visionを実現することの意味・価値が何であるのか?」等、言葉に込められた「感情情報(想い)」が省略されたキャッチーな言葉だけが伝達るという事態になっているようである。

 従って、経営ビジョンはノルマの伝達、経営陣の無謀な願望の押しつけ、面倒に感じる漠然とした何か・・・として一旦社員に受け止められた後、無視され、やがて忘れ去られていくのである。

 ひとことで言えば「社員の心にフックがかからない」という事が多いのである。受け止め方を強制することができないことから考えると、まずは伝える側に問題があるという前提から考えはじめたほうが解決は早そうである。

経営Visionを腐らせる数値目標

 「経営Vision」において、業績目標(=数値情報)が伝わっていると記載したが、そもそも業績目標を「経営Vision」の中に入れて伝えるべきなのだろうか?

 例えば、経営Vision の中に、『今から6年後の2020年の東京オリンピック開催年度において、我が社は売上●●、利益●●を実現する!』というように表現すべきか?という事であるが、私の考えとしては絶対とは言わないまでも、売上・利益の業績目標を「経営Vision」に入れる事はオススメしない。

 「経営Vision」は一般的に5年~7年以上先の未来に視点を置き「心から実現したいありたい姿」を描くわけであるが、例えば、業績目標を「経営Vision」に入れて策定してしまい、2~3年経過した後に、「どんなに頑張ってもその業績目標には届かない!」「経営Visionに掲げた業績目標は非現実的なものである!」という見通しが現実のものになり始めると、「経営Vision」は経営陣の無謀な夢物語として非難されはじめ、やがては朽ち果てていくというケースを何度も見てきたからである。しかも、非難の口火を切るのは中間管理職以上であるケースが多くこうなると「経営Vision」は社員に信頼されない冷え冷えとした言葉の塊でしかない。

 業績目標は「中期経営計画」の中で設計し取り組んでいけばよいものであるため、「経営Vision」が持っている、“ありたい姿に向けて、組織を巻き込む力”を失わないように欲張って経営Vision にすべきこと盛り込みすぎないようにすべきであろう。

後からモチベーションを上げるのは大変

 「経営Vision」と「現実」のギャップを埋めるための戦略・戦術として「中期経営計画」を策定することになるが、「中期経営計画」を実行する段階において「経営Vision」と「現実」の差の大きさにくじけそうになる事も正直多いであろう。設計図が立派でも実現には多くの山谷があるのである。

 この時、「経営Vision」が腹落ちしている企業と、そうでない企業とでは大きく推進力に差が出るように経験より感じる。例え「経営Visionが腹落ちしている企業」であっても中経の進捗においては苦労が多く、失敗や停滞もあるわけだが本当に実現したい未来に向けてどうすべきかを考えるのが当たり前になっている事が多いため「経営Visionの実現」が合い言葉のようになり例え歩みが遅くとも前進しているケースが多い。

 一方、「経営Visionが腹落ちしていない企業」では、目の前の「目標設定のあり方」だけでなく、「経営Vision」のあり方まで遡って議論をし直すようなケースが目立つ。残念ながら何度も同じ議論をしているがどんどん後退してしまい、そもそも論に入り込んでいくだけで前進は期待できないというケースである。

 前者も後者も「経営Vision」 の実現、「中期経営計画」の実行時においては苦しい事、辛い事は同じように起きている。しかし、前者は前向きに前進していこうとする力が働きやすいのに対して、後者はプロジェクトを発足してから、「さてどうやってメンバーのモチベーションを上げようか?」と苦慮しはじめスタートさえ切る事ができないという印象である。

 モチベーションのあがるテーマ(本当に実現したい姿)として、最初に練り上げてからスタートできたか、そうでないかによる「推進力の差」は極めて大きい。その鍵を握るのは「経営Vision」の練り上げ方と、その後の中経のPDCAによるものが大きいと経験より感じる。

クールロジック株式会社代表取締役 村松 毅 氏

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