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  • 審査部門とポジション ~経理の同期と語る~

2014.05.16

[企業審査人シリーズvol.33]

話はさかのぼって1年前・・・審査課に配属される直前の3月、青山は隣の経理課にいる同期、阿佐見に誘われて会社近くの居酒屋にいた。「審査課に異動するなんて思わなかったよ」と言う青山に、阿佐見が続けた。
「そうだな。俺もビックリしたよ。審査課に若手が配属されるのって珍しいからね」
青山と阿佐見には同期が10人いるが、営業部に5人、受発注を主体とした業務部門に3人、管理部門と言われる総務・経理に2人が配属された。
 青山は営業部、阿佐見は経理に配属されたわけだが、新入社員研修でお互いウマが合うと感じたふたりは、職場が違っても2~3カ月に一度はどちらからともなく声をかけて飲みに行く仲だ。
「審査課ってどういうイメージだ?」青山がチーズを口に入れながら聞いた。
「そうだな、わかりづらい部署だけど、経理から見れば味方のイメージだな。焦げ付くと大変だから」と阿佐見はビール片手に答えた。
「ディフェンダー仲間ってことか」青山が言葉を返す。
「そうそう。経理にいると営業の人の後処理の仕事がある。長期の未収金の処理だとか貸倒償却とかね。これだけの利益を取り戻すのにいくら売らなきゃいけないんだろうとか、何でこんなところに売っちゃうんだろうとか、思うことあるがあるからさ」1杯目の生ビールを空にしながら阿佐見がため息をつく。
「そういうときって、経理と営業の間でやりとりがあるの?」すでに2杯目に入っている青山が聞いた。
「いや、経理が直接話をすることは少ないな。結局事後処理だから。それに俺たちは伝票でしか見てないから、営業現場のやりとりも取引先のことも中身もよくわからない」
「じゃあ、阿佐見たちより営業に近いところでディフェンスをやるのが審査ってことなのかな」
「サッカーに例えるならフォワードとディフェンスの間だから、ミッドフィールダーなんじゃない?」
 ビールで滑りがよくなった阿佐見に、青山も「じゃあ日本代表で言えば遠藤か。悪くないね」と乗った。

審査部門のポジション

 与信管理は経営管理のひとつの活動と位置づけられますが、売上をどれだけ上げるかを管理する「販売管理」、売上・収益を決算に反映し数値管理する、あらゆる企業活動を利益に集約する作業を担う「財務管理」の間にあるのが「与信管理」と言えます。
 与信管理部門の守備範囲は会社によって異なりますが、販売管理に近いところにある「販売先管理」や、財務管理に近いところにある「債権管理」を守備範囲とすることもあります。販売先管理とは、営業部門と連携しながら販売先の良否を判定し、売ってよい先とよくない先はもちろん、もっと売るべき先や徐々に取引を引き揚げるべき先までを見分けて営業の前線にフィードバックする活動です。
 もうひとつの債権管理は、債権の回収を円滑・確実にするために、債権の実績管理や保全を行う活動です。
 これらの中間的な機能は会社によって販売先管理が営業部門に含まれたり、債権管理が経理部門に含まれたりするものですが、そうなると営業が「攻め」、経理が「守り」というステレオタイプ的な位置づけになりがちで、対立関係だけが際立ってしまうケースも出てきます。したがって、その間に入って独立的に機能し、両者を売上拡大と収益の確保という目的を果たすのが理想的な審査部門の機能と言えます。 

青山が背負う期待

 先にも触れたように、審査部門の人材に求められる資質や能力はこうした位置づけにも起因していると言えるでしょう。青山がいるウッドワークも従来は管理畑が長い水田が若い営業マンを怒鳴りつけながらやってきましたが、営業部門との連携を重視する若い中谷を課長に据えることで、新しい方向性を示しました。
 その中谷が短いながらもFWの経験を持つ青山を審査部に連れてきて、戦略的MFとして育てたいと考えています。皆さんの職場のMFはどうですか?どういう布陣で行くか。そう考えると、一見地味な審査部門も戦略論の中で語ることができるものです。

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