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  • 階層別教育研修を考える(中堅社員研修編)

2014.06.27

 「シリーズ:階層別教育研修を考える」、第四回は「中堅社員研修(リテンション)」について考えたいと思います。

 前回のコラムで、中堅社員とは「仕事のサイクルを理解し、自分の担当する仕事についてある程度、自律的な判断が出来る社員」と定義をしました。
 そして、中堅社員に研修が必要な理由として、「後輩の指導育成という期待役割」「組織への定着=リテンション」という2つの理由を挙げました。

 今回は「組織への定着=リテンション」について、考えたいと思います。
 20代後半に入ると、仕事にも慣れ、ある程度、組織全体も見えるようになります。
それはつまり、冷静に組織の課題(組織への不満を含む)を考えることが出来るようになることを意味します。
もちろん、経営者の視点から見れば「何を甘いことを言っている」というご意見もあるのでしょうが、彼ら中堅社員は、社員として働いているのであって、経営者ではありません。
 社員が自分の立場から、会社を見ることは、至極当然のことです。
そして、組織への不満の反射として「隣の芝が青く見える」という”迷い”も発生します。
その理由には、もちろん「職場の上司と合わない」「もっと給与の高い会社にいきたい」などもあります。
しかしそれら「簡単には変えられない要因」以上に、中堅社員に多く見られることが「成長感の低下」にあるのではないでしょうか。

新入社員の時は、見るもの聞くもの全てが新鮮で、仕事に戸惑いながらも、日々、自己の成長を感じています。
しかし、3年を過ぎると仕事にも慣れ始め、成長感という刺激が少なくなります。
その結果、日々をマンネリに感じ始め、「自分は何故、この仕事をしているのか?」という問いに突き当たります。
無我夢中で走っていて、ふと立ち止まった時に「何故、走っているのか?」「この道で本当に良いのか?」と考えるようになるのです。

大企業あれば、このタイミングで「人事異動」などを行い、新しい成長感を与えるのですが、人事異動を行うほど大きくない企業では、その手段は使えません。
そこで、入社満3年のタイミングで、「今の会社で働く意味・意義を再設定し、成長感を取り戻すための研修」として、キャリア開発研修の実施を提唱しています。

キャリア開発と聞くと「自分に合った仕事を探す」というイメージをお持ちになるかもしれませんが、企業内におけるキャリア開発とは「仕事に自分を合わせる」ことを主眼とするべきです。
企業が社員に求めることは、(この会社、今の仕事の中で)どのように生きるか?を考えることであり、転職を考えることでは無いはずです。
この「仕事に自分を合わせるキャリア開発」のことを”仕事軸型”キャリア開発、と呼んでいます。
研修の具体的な内容としては、以下のような構成になっています。
1.今の仕事に対する正直な気持ち
2.経験から学ぶスタイルを身につける
3.学び損ねた経験を整理する
4.今の自分を理解する
5.仕事を自分の中で再定義する
6.貢献するテーマを設定する
7.これからの自分に向けてのエール

 一般的なキャリア研修で行う「自分に向いている仕事」とか「自分に不足している能力」などは殆ど触れません。
「目の前の仕事に、懸命に取り組む姿勢を取り戻す」「組織に貢献する気持ちを高める」ことを狙いとしています。
「石の上にも3年」と言いますが、どの仕事においても本来、一人前になるには、10年程度の経験は必要です。
 本研修は、3年目の迷いを認めた上で、それを克服して、更に成長をする後押しをするものです。

「他社の人でも、同じように悩んでいる」「自分は実は恵まれていた」「懸命に仕事に取り組んでいる人の話を聴いて、自分の甘えに気づいた」といったお声を多く頂いております。

 次回は「管理職研修」について考えたいと思います。

株式会社グローネス・コンサルティング
代表取締役 為広雅夫

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