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  • 階層別教育研修を考える(部下育成編2)

2014.11.05

 「シリーズ:階層別教育研修を考える」、第八回は引き続き、部下育成を取り上げます。
 前回では、管理職が行うべき部下育成とは

1.その部下にとって、良質な経験を与えること=仕事を与える
2.その部下が、いま経験をしていることを良質化すること=部下に関わる

上記のように定義をしました。今回は「1.部下にとって、良質な経験を与える」について、
考えていきたいと思います。
 管理職は部門(自チーム)の目標に責任をもっています。
部門の目標の達成のために、時には自分が「プレイヤー」として動く必要も出てくるでしょう。
 しかし、基本的には様々な「仕事」を部下個々人に割り振り、部門全体で目標の達成を目指します。

 この「部下に仕事を振る」ことが、正に「良質な経験を与える」ことに繋がります。
具体的な仕事の与え方としては

1.仕事を与える上で、前提(思い込み)は無いか?
2.誰に仕事を与えるか?
3.何の仕事を与えるか?
4.どのように仕事を与えるか?

この4つをおさえることが重要となります。

1.仕事を与える上で、前提(思い込み)は無いか?

管理職が持ちやすい“思い込み”
 経験を通じて、部下の成長を促すためには、その本人にとって「程よい難易度」の仕事を与えることが有効です。
 しかし、仕事を与える側からすれば

■彼にこの仕事をさせるのは、早すぎる
■経験がある俺の方がこの仕事がうまくこなせるので、任せられない
■この仕事を手放したら、部門における自分の存在価値が無くなる
■部下が抱えている業務量は多すぎて、これ以上を任せることは出来ない

図にあるような「管理職が持ちやすい思い込み」が阻害要因となり、「彼に出来そうな仕事」を任せない、あるいは権限を与えず、仕事を任せるだけになったりします。

 こうした思い込みは、誰もが持つものであり、それ自体は悪いことではありません。ただ、一度出来上がってしまった相手に対する認知は、固定化する傾向があります。その結果、部下に中々、仕事を任すことが出来ない、といった現象が発生します。

 部下も人ですから、変化も成長もします。過去の認知が今後も続くとは限りません。
管理職は部下を観る上で、こうした「思い込み」を整理しておく必要があります。

2.誰に仕事を与えるか?

 仕事を振る相手は、もちろん部下なのですが、ここで問いたいのは「なぜその仕事を彼(彼女)に与えるか?」
つまり、部下の強みやこれまでの経験、今後のキャリア志向を考えた上で、意図的に仕事を与えているか?という点です。

 組織である以上、何も考えずに仕事を割り振ったとしても、管理職から仕事を与えられれば、部下はその仕事に取り組みます。しかし人間である以上、部下にも「向き/不向き」「得意/不得意」「好き/嫌い」があります。
管理職は、部下のこうした「特性」を把握した上で、全体最適の考えから、誰に仕事を任せるかを考える必要があります。

3.何の仕事を与えるか?

 部下に仕事を与えるタイミングは、大きく2つに分けられます。「期初の目標設定時」「期中の日常業務時」です。
期初の目標設定については、別途「目標の管理」で詳しく述べたいと思いますが、期初においては、部門全体の方針と目標を伝えた上で、一人ひとりに対する期待と重点課題/取り組む仕事について、すり合わせをしていきます。

 一方、期中の日常業務時では、日々発生する仕事の中で、部下に仕事を任せていきます。例えば

■自分が担当していたお客さまを任せる
■若手社員の育成をサブ・リーダーに任せる
■これまで自分が担当をしていた外部業者とのやり取りを任せる
■新たなプロジェクトの管理運営を任せる

 こうした日々の具体的な業務も任せる対象となります。
特に考えるべきは「マネジメント業務の中で、任せられることはないか?」という点です。
たしかにマネジメントの責任は管理職にありますが、1から10まで、マネジメントは管理職がやるべきものとは限りません。
 課長補佐やサブ・リーダーなどがいる場合は、彼らにマネジメント経験をさせることも、良質な経験となり得ます。

4.どのように仕事を与えるか?

 部下への仕事の与え方は、経験の良質化に欠かせないものです。
その仕事を通じて、部下にどのようになってもらいたいのか?
成長の方向について、すり合わせをした上で、具体的な仕事を任せていきます。

 大切なことは、決して「押し付け」てはいけないということです。
管理職が「君は○○が得意だから…」と一方的に話して、仕事を与えてしまうと、部下の側からすれば「勝手に自分を決めつけて、仕事を丸投げしてきた」と受け取る場合があります。
部下本人に、どのように思うかを確認し、相互納得の上で仕事を任せることが重要なのです。

 部下育成研修の体系として「部下への仕事の任せ方」を修得する研修を用意しています。
ご関心のある方は、帝国データバンクまで具体的に相談頂ければと思います。

次回は、もう一つの部下育成方法「部下に関わる」について考えていきます。


株式会社グローネス・コンサルティング 代表取締役 為広雅夫

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