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  • 営業力強化を考える(5.ファースト・アプローチ:情報収集と仮説立案)

2015.12.24

 第五回目のコラムでは「ファースト・アプローチ:情報収集と仮説立案」について、考えたいと思います。

1.ファースト・アプローチとは?
 ファースト・アプローチとは、お客さまとの「初回面談」および「その手前」のことを指します。
 B2Bにおいて、新規顧客を獲得するためには「アポイントメント取得による商談」が必要不可欠です。そして、商談を通じてお客さまのニーズを聞き出し、こちらの可能性(ケイパビリティ)を示し、お客さまに「役に立ちそうだ」と信頼をして頂くことで、提案機会へと繋がるわけです。
 つまり、B2Bの新規開拓は、この「ファースト・アプローチ」が極めて重要なのです。初回面談から2度目の面談へと繋げることが、優績営業への近道と言えるでしょう。

ファースト・アプローチは大きく3つのフェーズに分けられます。
①ターゲットとなる新規企業への面談依頼
②初回訪問前の準備
③初回訪問

 今回は、①と②について書きます。③については、次回の「6.営業面談スキル」で書きたいと思います。

2.「①ターゲットとなる新規企業への面談依頼」のポイント

 「ターゲティング」によって、ターゲットとなる新規企業を明確にしました。新規企業へのコンタクト方法は様々です。たとえば「セミナー開催のDMを送る」「TELアポ会社に外注する」「飛び込み」などなど、多様なコンタクト方法がありますが、ここでは、昔から使われている「王道のコンタクト方法」をご紹介します。それは「面談依頼状」です。

 「面談依頼状」とは、企業の担当者(もしくは担当部門宛て)に「面談をして欲しい」という依頼の文章を送り、後日電話でコンタクトを取る、というやり方です。この場合、担当者の氏名まで判っていれば、その人宛てに面談依頼状を書きますが、大抵の場合は「担当部門宛て」になります。

株式会社○○○商事
総務部 什器購買御担当者様
といった宛先になります。営業が取り扱う商材・サービスによっては、部署や役職が変わります。場合によっては、役員や代表取締役の方に、面談依頼を行う必要もあります。
 このように、面談依頼状を書き、電話にてアポイント依頼を行うことは、決して失礼なことではありません。ともすると「いきなり電話を掛ける」という会社が多い中、きちんと身分を明かして、面談依頼の旨を手紙で送ることは、むしろ「礼儀正しい」と思ってもらえます。

 電話先については、インターネットの「電話帳」で、担当部署番号が載っている場合もありますので、
まずは、企業名・部署名で検索をすることをお薦めします。もし載っていない場合は、代表電話から繋いでもらいましょう。

 「○○株式会社の○○と申します。先日、貴社の御担当者様に、面談依頼のお手紙と弊社紹介資料を
お送り致しました。一度、お話をさせて頂きたく、お電話を差し上げた次第です。お繋ぎ頂けませんか?」

 このように依頼をすれば、代表電話を取る事務の女性の方も「あっ、結構です」と断ることは、ほぼありません。高い確率で、当該部署の誰かには、繋いでもらうことが出来ます。
 電話を部署に繋いでもらうことが出来たら、同じように、面談依頼状を送ったこと、一度お会いする機会を頂きたいことを伝えましょう。面談依頼状を読んだ人に繋いでもらえれば、高い確率でアポイントを取ることが出来ます。
 また、もし断られた場合でも、先方は「礼儀正しい会社」と認識をして断るので、それだけで「会社の認知を広めること」に繋がります。無作為な「TELアポ」とは違います。

 ここで注意をすることとして、決して「しつこく食い下がってはいけない」ということです。もともと取引も無く、氏名も解らない他社の人に電話をしているのです。「断られて当たり前」という言葉を営業は良く使いますが、それは「断れるのが前提だからしつこく食い下がれ」という意味ではありません。
 しつこい電話は、やがて「○○という会社はとにかくしつこい」という「負の認知」を広げ、結果として会社そのものを傷つけます。
 「気落ちせずに、次のターゲットに当たればよい」「一度は断られたが、資料や手紙でコンタクトを続ければ、いつか関係性が築ける」という気持ちで、その言葉を捉えるべきです。くれぐれも「しつこく」食い下がるという行為は控えるようにしましょう。

3.「②訪問前の準備」のポイント

「ソリューション(問題解決型)営業モデル」
 面談依頼状を通じて、御担当者様からアポイントを頂くことが出来ました。次に行うべきは「初回面談にあたっての準備」です。
 初回面談は、その会社が”将来の顧客候補”となるか、しばらくは訪問しない”休眠リスト入り”となるかの分かれ目です。継続して成績を上げ続ける優績営業とは、”将来の顧客候補”をたくさん抱えている営業なのです。
 この初回面談の目的は一つです。「継続訪問の許可を得ること」です。当然、そのための準備をしなければなりません。

 現在、多くの企業が「ホームページ」を持っています。また、四季報や業界紙などに載っている企業もあるでしょう。そうした「情報ソース」を活用して、まずは訪問先のお客様を出来るだけ知ることが大切です。もちろん、帝国データバンクのデータベースも、そうした情報ソースの一つとして、活用頂くことが出来ます。
 さて、情報を集めるといっても、無作為に集めては意味がありません。「何の情報を集めるのか」「何の為に集めるのか」を押さえておく必要があります。

 図1「ソリューション(問題解決型)営業モデル」をご覧ください。お客さまのライバル他社の情報(何を)を集めることによって、お客さまの差別化に役立つサービス(何のため)を提供する、お客さまのお客さまの動向(何を)を理解することによって、お客さまの仕事の効率化を図る(何のため)提案をするなどです。
 第二回のコラムで「B2B営業において、お客さまが導入の判断基準にするのは”ビジネスに役に立つか”という視点」とご紹介しました。
 つまり「ビジネス上の何らかの課題を解決するために、その商品・サービスが役に立つか」という視点から、お客さまは購買を決定するのです。そのため、B2B営業では「お客さまの課題」が、面談の中心となります。
 初回訪問においては、お客さまの課題を知ることは困難です。しかし「IR情報や会社四季報、業界分析などを通じ、仮説を立案すること」は可能です。「ソリューション営業モデル」とは、お客さまの「ビジネス構造」を捉え、仮説を組み立て、自社の商品・サービスを位置付ける営業方法です。

■Customer:お客さま
■Customer’s Customer:お客さまのお客さま
■Customer’s Competitor:お客さまの競合
 初回面談前に、この3つを調べ「お客さまの課題」を仮説します。その上で「現在、このような取り組みをしているのではないか?」というお客さまの「課題」を設定し、それに対する自社商品・サービスを紹介した資料を用意します。

 初回面談では、お客さまも「この会社は何者だ?」という思いで臨みます。そのお客さまの懐に入り、継続訪問の許可を得るには「差別化された商品・サービス」もしくは「差別化された営業担当」が必要なのです。前者は難しくても、後者は営業担当の努力で実現可能です。
 今回は、ファースト・アプローチとして「初回訪問前の準備」についてご紹介をしました。特に「情報収集と仮説提案」については、標準化した研修をご用意しています。ご関心のある方は、株式会社帝国データバンクまでお問い合わせください。

 次回はいよいよ、初回面談に臨みます。「6.営業面談スキル」です。

株式会社グローネス・コンサルティング 代表取締役 為広雅夫

 
 

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