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  • 「営業・本物のプレゼンテーション11」

2016.05.11

【何を売るかではなく誰が売るか】

GWとあるショップでの出来事。

ジーンズを片手に試着室へ入る男性と連れの女性がひとり、近くのお店の女性スタッフが案内したようです。男性が試着室に入ると、スタッフが小走りに陳列棚に向かい、男性が持っていたジーンズと同じものを1本そして違う商品を1本、手に持ち試着室の前に戻ってきました。

どうやら男性の持っていたジーンズのサイズが合わないと判断したようです。
数分後、男性はサイズが合わなかった様子で苦笑いしながら試着室のカーテンを開けた所、
「宜しければこちらも試着いかがですか?」
と男性が試着したジーンズと同じ別サイズのものを手渡しながら、
「こちらも穿けるようならこちらもお似合いになるかと思ってお持ちしました。もし宜しければこちらもご試着下さい」と笑顔で別の商品も手渡したのです。

これだけでも素晴らしいのに、それ以上に素晴らしかったのが、そのお客様の連れの女性に対して、
「ご迷惑だったら無理に試着しなくてもいいですからね。でも、本音を言えば試着だけでもして貰えたら嬉しいです。どうしてかと言うと、彼のように背が高くて素敵な男性には、お渡しした商品の様な遊び心を持ったパンツもトライして頂きたいんですよね。」とにっこり。

その後、男性はそれぞれジーンズとパンツを試着しながら、女性と相談していました。
そして、満面の笑みの女性に促されるまま最初に持ったジーパンと一緒に2本目のパンツを持ちレジに並んだのです。

お店の女性スタッフがもし、言われたことだけを実行していたら、
試着室へ案内 → サイズが合わない → 男性客に試着室から声をかけられ → 違うサイズのものを持ってくる → 再度試着しジーパン1本購入 (この間約15分)となっていたでしょう。

ところがこの女性スタッフは同じ約15分で2倍の売上、しかもGWの真っただ中、店内が大混雑の中でこの一連のサービスを行ったのです。

ポイントは2つ、
(1) 男性客のサイズを瞬時に見抜く「力」
(2) 連れの女性の心を開き、男性客より先にクロージングする「力」
まさに、この「力」こそがコンピューターに出来ない、人にしか出来ない「人間力」なのでしょう。

世の中には多くの商品が出回っています。しかも、どこでも同じような商品やデザイン、そして同じような金額です。価格、デザイン、商品力だけで勝負するならば店舗販売は将来不要になるでしょう。しかし、「あなたから買いたい」と言われるスタッフがいる限りその店舗の存在価値は上がり続けるでしょう。

 インターネットで何でも買える時代だからこそ、人としての魅力、お客様を惹きつけるセールススキルを持ったスタッフのいる店舗が生き残っていくのです。

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