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2019.06.24

~SUPPORTERS スポーツを支える企業~

九州からアメフトXリーグに参戦 アメフトの未来を照らすみらいふ福岡

みらいふ福岡SUNS(旧・オーパーツ福岡SUNS)(福岡市博多区)

地域のスポーツチームや、それを支える企業・団体にスポットを当てるリレー記事の第3弾は、福岡市に本拠を置くアメリカンフットボール(アメフト)の社会人チームを取り上げる。九州初のXリーグ加盟チームとして2017年2月に創部して以来、公式戦21連勝と破竹の勢いでX1リーグに上り詰めた若さあふれるチームは、この4月にメインスポンサーが交代。チーム名を『みらいふ福岡SUNS』へと変更し、歴戦の猛者との戦いに挑む。(福岡支店情報部)

夢の続きを追いかけるチームを結成

かつて九州は、アメフト“不毛の地”だった。大学時代にアメフトに打ち込んだ選手が社会人でも競技を続けたいと考えても、選択肢は独立リーグしかない。トップリーグである日本社会人アメリカンフットボール協会(NFA)運営のXリーグ加盟チームに入るには九州から転出しなければならず、逆に、転勤で九州に来た選手も所属先が見つからず、泣く泣く競技生活に終止符を打つケースが相次いでいた。

九州にXリーグ加盟チームをつくる必要がある――。大阪府出身で関西大学在学中に甲子園ボウルを制した経歴を持つ吉野至氏は、こうした事態を憂慮。勤めていた企業を退職するなど退路を断って福岡の地に残ることを決断した。当時、自身がヘッドコーチを務める西南学院大学アメフト部OBを中心に、九州の大学出身者などから本気で日本一を目指したいと考える選手をスカウトしてチームを結成。2017年1月にNFAへの加盟承認を取り付け、翌2月に『福岡SUNS』として正式に創部した。

“思い”を共有するスポンサーの出現

Xリーグの試合は主に東名阪で開催される。九州から50名を超える選手に加え、マネジャーやトレーナー、ドクターなどのチームスタッフを帯同させ、また、用具やユニフォームを揃えるだけでも、年間数千万円の活動資金が必要になる。

当初は、選手らが自ら拠出するほか、クラウドファンディングを通じて活動資金を集めていたが、限界が迫るなかで、創部に至った経緯や選手らの熱い思いに共感するスポンサーが現れた。dendera®(デンデラ)ブランドの各種LED照明を取り扱って急成長を遂げているベンチャー企業の(株)オーパーツ(福岡市博多区、代表:原野猛氏)だ。

原野氏はアメフトのルールも知らなければ、試合を観たこともない、言わば“素人”同然だったが、吉野氏をはじめとする選手らと会合を重ねるうち、「彼らの輝きに魅せられていった」という。“九州からアメフト界に風穴を開ける”という意気込みは、オーパーツの“九州から照明業界に風穴を開ける”という経営方針とも一致。若者の力になりたいと考え、メインスポンサーに就くことを決めた。

2017年6月には、チーム運営を目的とする一般社団法人福岡SUNS(福岡市博多区、理事長:吉野至氏)を設立するとともに、チーム名を『オーパーツ福岡SUNS』に改称。オーパーツの要請に応える形で地元の複数社もスポンサーに名を連ね、一応の資金は確保できた。

スポンサー就任会見の席上、吉野氏は「まずは参戦中のグリーンボウルジュニアトーナメントで優勝する。続けて秋のX3リーグで優勝してX2リーグに昇格。2018年の秋リーグ後にはXリーグ(1部)に昇格できるよう、レベルアップも加速させていく」と力強く語った。

公式戦21連勝でトップリーグへ駆け上がる

ここから吉野氏が宣言したとおりの快進撃が続く。オーパーツの原野氏も「これはホンモノだ」と目を丸くし、アメフトの魅力に引き込まれていったという。関西での試合まで応援に駆け付け、選手らと一喜一憂を共にした。

2017年秋のX3リーグ(西日本地区Aブロック)は4完封を含む6連勝で優勝。入れ替え戦も完封劇でX2リーグ昇格を決めた。2018年春のグリーンボウルジュニアトーナメントも3戦全勝で連覇を達成。“日の出の勢い”とは、福岡SUNSのためにある言葉のようでもあった。

2018年秋のX2リーグ(WEST)こそ、対戦相手のレベルが上がり厳しい戦いを強いられたものの、5連勝で見事優勝。12月に行われた入れ替え戦にも勝利し、公式戦21連勝でX1リーグへの昇格を果たし、地元紙も大々的に取り上げた。

“最高潮”の状態でメインスポンサー交代

チームの躍進はNFAに新たな歴史を刻み、強烈なインパクトを与えたが、ちょうどこの頃から原野氏の心境は大きく揺れ動いていた。

「チームは本当に素晴らしい成績を残してくれた。活躍により社名を連呼され、新聞紙面にも自社の名前が踊り、多くの感動を与えてもらったことには感謝の思いしかない」というのは偽らざる本音だ。一方で、「応援するなかでトップリーグの厳しさがようやく理解できた。スポンサーもチームも“ギアチェンジ”しなければならないタイミングに差し掛かっている。トップリーグにまで駆け上がった最高のタイミングである今こそ、もっとしっかりしたスポンサーに支えてもらうべきだ」と、考えていたのだ。

新スポンサーの下で新シーズンを迎えるには時間がない。原野氏が後継スポンサーで悩むなか、手を挙げてくれたのが(株)みらいふ(福岡県久留米市、代表:古下誉雄氏)だった。

みらいふは、九州地区を中心に、関東地区まで全国49拠点のネットワークをもつ住宅総合商社。グループ会社を通じてサッカーJ2・レノファ山口FC(山口市)のオフィシャルスポンサーにも名を連ね、同チームが本拠地として使用する維新百年記念公園陸上競技場(愛称:維新みらいふスタジアム)のネーミングライツ(命名権)を取得したことでも知られている。

3月4日に開かれた記者発表に出席した、みらいふ専務取締役の古下裕二氏は、スポンサー就任の背景を語るうえで、選手の雇用やセカンドキャリアに強い関心を示した。「選手が親元に戻る必要が生じても、弊社のネットワークが活用できれば、若い選手は安心して九州で思い切りアメフトを続けられる。そうした選手の夢を全力で応援したい」と話し、選手数名の雇用(転籍)が決まったことも明かした。

次なる目標は「X1 Super」昇格

NFAは、2019年から新たなリーグ戦形式を導入する。これまでX1リーグは3エリア×6チームの計18チームで構成されていたが、2019年以降は、前年度上位8チームで構成する「X1 Super」と、3エリア×4チームで構成される「X1 Area」に分割(計20チーム)、X1 Areaで上位に入れば、X1 Super最下位チームとの入れ替え戦に臨む仕組みに変わる。4月からメインスポンサー変更に伴いチーム名が変更になる『みらいふ福岡SUNS』は、X1 Area(WEST)に所属。新たに“X1 Super昇格”という、手が届く範囲に明確な目標が立てられた。

新チームとして迎える初戦は、5月11日のグリーンボウルトーナメント1回戦だ。対戦相手は、X1 Superに所属し、2018年4月に練習試合で“唯一”の敗戦を喫した強豪・エレコム神戸ファイニーズ(神戸市灘区)。試金石の一戦となる。

他方、創部時に掲げた“九州におけるアメフト文化の創造”に向け、4月に九州初のキッズアメフトチーム『福岡Jr.SUNS』を創部する。福岡SUNSの選手らがコーチとして小・中学生の指導・育成に当たることも決まっており、「ジュニアチームを卒業した選手が、アメフトの素晴らしさを伝え、九州各地の高校で部活動として立ち上げてくれる日を夢見ている」(吉野氏)。トップリーグでの兄貴分の活躍が、裾野拡大のカギを握ることになろう。
みらいふ福岡SUNS
(旧・オーパーツ福岡SUNS)
■チーム運営 一般社団法人福岡SUNS
■所在地 福岡市博多区博多駅南3-2-3
■代表理事 吉野 至 氏
■設立 2017年6月
■https://www.fukuoka-suns.com/

新メインスポンサー:株式会社みらいふ
■TDB企業コード:820152217
■法人番号:7290001048730
■所在地 福岡県久留米市山川神代1-4-31
■代表取締役 古下 誉雄 氏
■事業内容 建築資材・住宅設備の販売および施工、不動産事業ほか
■https://me-life.co.jp

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