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  • 日本の国内景気は後退している? ~景気のミカタ~

2019.06.21

米中貿易摩擦の激化で切実な影響を受ける製造業

2019年に入ってから、さまざまな経済指標で弱い動きを示すことが増えてきました。とりわけ米中貿易摩擦の激化を背景に中国向け輸出が急減しており、関連する製造業を中心に景況感が大きく低下しています。
図表1 製造業の景気DI
帝国データバンクが毎月実施しているTDB景気動向調査においても、こうした変化に対して敏感に反応しています。直近5月の結果をみると、半導体関連を含む「機械製造」や「電気機械製造」のほか、「鉄鋼・非鉄・鉱業」「輸送用機械・器具製造」など、主要な機械製造業における落ち込みが目立ちます(図表1)。

企業からは「香港経由での中華圏からの受注が減少」(半導体素子製造)や「中国向けなど一部の産業用部品の受注が止まっている」(銑鉄鋳物製造)、「中国向け部品の落ち込みが戻らず、手配量は落ち込んだまま」(自動車操縦装置製造)といった声も寄せられており、中国経済の動向に影響を受けた切実な様子がうかがえます。

さらに、大型連休にともなう稼働日数の減少が企業活動の停滞を招いたほか、連休後には飲食店など一部で消費の減退がみられる結果となりました。

経済への打撃をもたらす景気判断の遅れ

図表2 景気基準日付
こうした国内景気を巡って、現在、多くのエコノミストの間で侃侃諤諤の議論が展開されています。国内景気が後退局面に入っていると、消費税率引き上げや景気対策、追加金融緩和など、さまざまな政策が影響を受けていくことになります。はたして、日本の景気は後退局面に入ったのでしょうか。

最終的な景気局面の判断は、内閣府の景気動向指数研究会での議論を踏まえて、内閣府経済社会総合研究所長が「景気基準日付」を決定します(図表2)。しかしながら、公的な景気判断には相当な時間を要することになります。

例えば、前回の景気循環における景気のピーク(山)が2012年4月と暫定的に設定されたのは、2013年8月で1年4カ月後のことでした。また、景気のボトム(谷)が2012年11月と暫定的に設定されたのも2014年5月と1年半が経過していました。そして最終的に、景気の山が2012年3月、谷が2012年11月だったと確定したのは、山からは3年以上が経った2015年7月のことでした。

景気判断が遅れることは、政府が適切な政策を実行することができなくなるだけでなく、逆効果を生み出すことにもつながりかねません。そのため、足下の景気動向を的確に捉え、先行きを見通すことは極めて重要と言えるでしょう。

国内景気は「後退局面入りの可能性」

TDB景気動向調査によると、全国の企業の景気判断を総合した指標である景気DIは、2018年12月以降6カ月連続で低下しました。さらに、帝国データバンクが採用している景気に対する基準によると、景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」が4カ月連続で判定されています。
また、5月の景気DIは業界別・地域別・規模別のすべてで低下しました。これは、東日本大震災が発生した2011年3月以来8年2カ月ぶりのことです。こうした足下の景気動向は、製造業の悪化を端緒にじわじわと関連する業界や地域、規模へと広がりをみせています。

近年の景気悪化時には、サブプライムローン問題やリーマン・ショック、東日本大震災など、明確な「ショック」がきっかけとなることが多くみられました。しかし、今回は、米中貿易摩擦などの要因が挙げられるものの、国内景気を悪化させるはっきりとした「ショック」が起点となったものとは捉えられないことが特徴となっています。
帝国データバンクでは、景気動向について、景況感の変化を「期間」「広がり」「深さ」という3つの視点に加え、各種指標等を含めて総合的に判断しています。そのため、景気の基調判断は、4月までの「後退局面入りの兆し」から5月に「後退局面入りの可能性」へと一段階引き下げました。2012年12月から始まった「アベノミクス景気」は重要な局面に差し掛かっていると言えるでしょう。

(データソリューション企画部 産業データ分析課 窪田剛士)
本コラムシリーズで紹介する景気DIや見通しは、ビジネスを展開する企業の
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