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  • 純資産の部 前編|財務会計のイロハのイ

2021.11.16

初心者向けシリーズ「財務会計のイロハのイ」 Vol.13

今回から2回に分けて、貸借対照表の右下に記載される「純資産の部」を紹介します。論点が多く、重要な科目が多いこの純資産の部ですが、何から手を付けて理解をすればいいか、ポイントを説明します。
先輩社員「さて、貸借対照表も大詰め、最後の『純資産の部』に入ります。ここだけで専門書が出ているくらい、論点が多いポイントになりますが、まずは初心者目線で説明していきます」

新入社員「お願いします。貸借対照表の中でも純資産の部は重要で、いの一番に覚えさせられたのは『自己資本比率』でした。この値が高い方が良い会社、ということはぼんやり知っています」

先輩社員「そうですね。算式はざっくり言ってしまうと『純資産÷総資産×100』となりますが、この純資産が自己資本と呼ばれることから、自己資本比率という呼び名になっていますね」

新入社員「単純にこの値が高いと、自己資本、つまり返済義務のない調達手段で資産を買っているということですよね?」

先輩社員「おおむね、そう言って差し支えないでしょう。自己資本比率は『安全性・安定性』を見極める指標と言えます」

新入社員「ただ、純資産の部はナントカ準備金とか、耳慣れない科目ばかりでよくわからないんですよね」

先輩社員「あせらず順番にいきましょう。純資産の部もいくつかに分けられるのですが、本丸は『株主資本』となります。今回はこの中身を説明していきます。大きく分けて『資本金』『資本剰余金』『利益剰余金』の3つです」

新入社員「資本金は設立したときに株主から振り込まれるお金ですよね。増資や減資で動きますが、毎期同じ金額が計上されているイメージです」

先輩社員「そうですね。資本金は増減があれば登記しなければいけません。資本金をはじめとする純資産が減ってしまうと、お金を貸している債権者からすれば、お金が返ってくるか不安になりますよね?なので、増減資を行うためには所定の手続きが必要なんです」

新入社員「経営者としても、お金を借りるときや、お客さんから良いイメージを持ってもらうために自己資本比率を高く保ちたいですよね。1円から会社を設立できるそうですけど、大きな会社ほど資本金も大きいですよね」

先輩社員「続けて資本剰余金です。ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、これは資本取引から生じた剰余金と説明され、ごく簡単に説明すると資本金としなかった元手と言えるでしょう。ただ資本金のような登記は必要ないため、相対的に動かしやすい科目と言えますが、根底は資本を充実させ、厚みを持たせることが求められています」

新入社員「なるほど。確かに『資本』とついていますしね。では利益剰余金は、自社で儲けたお金が貯まったものということですか?」

先輩社員「そうですね。もう少し踏み込んで説明すると、資本取引から生じたものが資本剰余金、損益取引から生じたものが利益剰余金と分けられています。そのため、利益剰余金については、利益が出れば増え、損失になれば減っていきます。そして通常は、この利益剰余金の科目の一つである『繰越利益剰余金』から株主に配当がされることになります」

新入社員「耳慣れない科目が多いのは確かですが、なんとなく純資産の部の構造がわかってきたような気がします」

先輩社員「初心者のうちは、まずはこの程度の切り分けが理解できていれば良いと思います。もう一点、重要なキーワードとして『債務超過』があります。これは聞いたことがあるでしょう」

新入社員「赤字続きの会社で、純資産の部がマイナスになってしまっている状態ですよね。倒産しそうな会社、という印象が強いです」

先輩社員「では、次回はもう少し債務超過についてと、他の純資産項目について取り上げましょう」

ポイントの整理

①自己資本比率は「安全性・安定性」を見極める指標であり、「純資産÷総資産×100」で求められる
②純資産の部で重要な「株主資本」は、大きく「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」からなる

◆関連コラム

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