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  • 海外ビジネスを進める上で知っておくべきコンプライアンス対応

2021.11.10

FATF、OFAC、AML、FCPA・・聞きなれない海外の横文字が新聞の紙面を賑わせていることが増えているように感じませんか?
これらは海外の法律や規制省庁・団体の名称です。海外企業との取引に際しては、このような海外の法律や規制に関係する場合があり、知らないうちに法に触れる(コンプライアンス違反)といった事態も発生しています。違反すると多額の課徴金や風評リスクによる信用低下を招きますので、自社の海外ビジネスがこれらの規制に関係するかを把握する目的でご覧いただければ幸いです。

FATF:Financial Action Task Force on Money Laundering(金融活動作業部会)

マネー・ローンダリング対策等における国際的な協力の推進等を行う政府間機関です。2019年10月に第四次対日審査が金融機関を対象に行われ、2021年8月にその結果が公表されました。日本は、重点フォローアップ国に分類され、銀行をはじめとする金融機関はリスクベースアプローチでのAML対応(実質的支配者の確認など)が急務となっています。

OFAC:Office of Foreign Assets Control(米国財務省外国資産管理室)

米国政府が外交政策及び安全保障上の観点から、指定した国や地域の取引先等について、取引の禁止や資産凍結などの措置を取っています。こうした規制のことをOFAC規制と呼び、日本でもメガバンクを中心に金融機関では対策をしてきました。OFACの制裁対象に指定されている人物・団体との取引は固く禁止されており、米国外に所在する企業であっても罰則が及ぶ域外適用の対象です。
OFACには50%ルールと呼ばれる規制があり、制裁対象者が50%以上出資する企業も制裁対象と見なされることから、制裁対象者のみならず資本関係まで調査することが求められます。

AML:Anti-Money Laundering(マネー・ローンダリング対策)

麻薬の密売など犯罪行為で不正に作られた資金を、合法な資金であるかのように見せかける資金洗浄のために、送金や銀行口座の不正使用を防ぐための対策のこと。対策の一例を挙げると、金融機関は海外送金依頼に対して、送金先を実質的に支配する実質的支配者(ベネフィシャルオーナー)の確認が求められます。

CFT:Combating the Financing of Terrorism(テロ資金供与対策)

資金の合法・非合法を問わず、テロリストへの資金供与を防ぐための対策のことです。AMLと並んで国際的な対策が求められてきており、上記のFATFが提唱する対策の大きなポイントでもあります。

FCPA:The Foreign Corrupt Practices Act of 1977(米国連邦海外公務員腐敗行為防止法)

FCPA は、日本の不正競争防止法第18 条と同様に、外国公務員に対する贈賄を禁止・処罰する米国の連邦法です。特に気を付けるべきは、米国外の企業が米国外で活動していた際に公務員への贈賄が認められた場合、域外適用の対象となることです。海外進出している日系企業でも違反とみなされ巨額の課徴金を受けた事例が出ています。海外でのビジネスを行う際には、商談相手が外国公務員やPEPs(公的要人)ではないかの確認を行いましょう。

PEPs: Politically Exposed Persons(公的要人)

政治家や国の機関の要職にある人物が対象ですが、国際的な定義は確立されていません。犯罪収益移転防止法の改正により、取引開始時等に外国のPEPsに該当するか否かの確認が金融機関等に義務付けられるようになりました。なお、AMLの観点では、PEPsを高リスクに位置づける場合もあります。

SDNリスト:Specially Designated Nationals and Blocked Persons List

国家の安全保障を脅かすものと指定した国、法人、自然人等のリストのこと。米国のOFAC及び英国にはSDNリストがあり、金融機関等にはSDNリストとの照合や資産凍結等の義務が課されています。


いかがでしたか。
これらは現実に日本企業がコンプライアンスの観点で守ることが求められる対策や法令の一部です。ご自身に関係のある法令・規制はありませんか。
コーポレートガバナンスに詳しい西村あさひ法律事務所パートナー弁護士根本剛史氏によると、海外での事業展開を行う企業が増えていることや、全世界的に適用される法令・規制が増えていること、法令違反等に対する執行が強化されていること等から、気付かないうちに違反していて摘発されたという件も生じており、海外の法令・規制を含めたコンプライアンス体制の構築の必要性が高まっているとのことです。

海外ビジネスにおけるコンプライアンスリスク対策についての相談がございましたら、帝国データバンクまでお気軽にお問い合わせください。

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