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  • パクリ屋の手口 ~商業登記に表れる異常~

2013.10.02

[企業審査人シリーズvol.1]

10月のある日、インターネットから商業登記を取得した青山には、ピンとくるものがあった。福岡支社から届いた与信申請書に基づいて検索した会社は株式会社リビング創建。取引種別は新規取引。商業登記によると、平成24年12月に株式会社赤間興業から商号変更、時を同じくして住所を福岡県宗像市から福岡市東区に移転、代表者も、そして事業目的には30近い事業が並んでいた。
 「これが噂のパクリ屋というやつか?」と青山は掘り出し物を見つけたような気分になった。
 自分もとうとう審査の習性が身についてきたか。課長の中谷が席にいることを確認するなり、「課長、よろしいですか?」といつもより高い声を出して立ち上がった。
 「ああ、これは古典的ね。こんなのを上げてきたのは誰なの?」課長の中谷は受け取った商業登記を一瞥するなり、ため息まじりに青山に聞いた。
 「福岡支社の宮元さんです」青山は手に持った書類で確認しながら「いわゆるパクリ屋ですか?」と中谷に聞いた。
 「断定はできないけど、確率は80%以上ね。」中谷の黒縁が光る。
 「私から福岡支社長に電話しておくわ。こういうのがあったらすぐ持ってきてね。」「はい。」青山が手柄を挙げたようなうれしそうな顔をしているのを見て、課長の中谷は少しおかしそうに微笑んだ。

パクリ屋=取り込み詐欺、まず商業登記で見抜く!

 「パクリ屋」はいわゆる取り込み詐欺を働く業者の俗称です。
 取引を持ちかけて最初の何度かは正常に支払いを行いますが、相手が信用したところで大口の取引を持ちかけ、納品されたところで姿をくらますというのが手口です。
 こうした企業にはいくつかの特徴があり、商業登記を見るとそれとわかることがあります。
 休眠会社を買収して商売を始める(商業登記を安く買っている)。したがって、商号・住所・代表者・事業目的などが連続性なく変化していることが多い 事業目的に関係性の薄い事業が多数並んでいる 事業目的に並ぶ事業に換金性の高い商材を扱うものが多い(乾物等の食品、パソコン等の家電品ほか)
 商業登記でこうした特徴が見て取れる場合は、その段階で与信を見送ることが安全策ですが、話を進める場合は現地を訪問して先方の担当者と面談することが必要不可欠です。

パクリ屋の特徴

 調査会社の調査員は数年調査をしていればこうした会社の調査に一度は遭遇するものですが、現地にもいくつかの特徴があります。
 ・雑居ビルまたはマンションの一室に事務所を構えている
 ・表札や外見は目立たず簡素な場合が多い
 ・事務所の中はすっきり片付いており、ドラマのセットのように観葉植物や机が置かれている
 ・従業員は数名程度で、電話が鳴ることは少ない
 また、先方の担当者と面談した場合にも、共通する特徴があります。
 ・商材や商売の内容についてはよく話すが会社の略歴にはあまり触れず、話しても特徴のない話が多い
 ・取引先を聞くと、販売先に大手企業を挙げることが多い。一方で仕入先についてはあまり話したがらない
 ・決算書を徴求すると、すぐに提供する。内容は絵に描いたような黒字企業の決算書である
 ・取引銀行からの借入はなく、普通預金取引のみである
 こうした企業は遠方から電話で商談を持ちかけることも多く、現地に赴くことができないケースもあります。またインターネットを介した商談もあり、そうした場合に落とし穴に落ちることがあるため、初期の商業登記のチェックは与信管理において常に重要と言えるのです。
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