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  • 老舗2万6千社に学ぶ生き残る企業の条件~変えたこと、変えないこと~

2016.11.18

 老舗企業の強みとして取り上げられるテーマのひとつに「家訓、社是、社訓」があります。これらは企業の精神的支柱であり経営方針の根幹をなすものです。家訓、社是、社訓の役割について「経営者の心のブレーキであり、これからやることが正しいかどうか考える時の材料にしている」と回答した社長もいます。たとえるならば、会社のポジションを俯瞰して確認するGPS、あるいはコンピュータのOSのような役割を果たしているのではないでしょうか。

老舗は家訓・社是・社訓を大切にする

(図)老舗企業は8割が家訓を制定
 帝国データバンク史料館では、2008年に老舗企業4,000社に対してアンケート調査を実施しました。以下、その調査結果を引用して老舗企業の特徴をお伝えします。
 まず、「家訓、社是、社訓」をお持ちですかという質問をしたところ、8割の企業が明文化または口伝された「家訓、社是、社訓」があると回答しました。
 やはり企業が存続するためには、羅針盤とも言うべき経営指針、共通の価値観が必要だということでしょう。
 アンケートで具体的に記入された家訓、社是、社訓を「ヒト」「モノ」「カネ」「その他」の4つに分類してみました。その結果最も多かったのは「モノ・サービス」でしたが、この中には「賞取りに走らず、品質を保つ」(清酒製造)、「作り手こそ真の使い手であれ」(陶磁器製造)など、品質に対するこだわりを感じさせる家訓が目立ちました。さらにサービスについても「喜ばれる楽しい旅のお手伝い。お客様は我々一人1人の恩人である」(旅館・ホテル)といったように顧客最優先の徹底やお客さまへの感謝の気持ちを伝えることを家訓としているものが見られます。
 「ヒト」に関連する家訓、社訓、社是では、組織人、商売人としての心構えを説く内容が多く見られました。また、「信」を含む家訓、社是、社訓が44社から上げられるなど、顧客からの信用、信頼が重んじられていることがわかります。
 「カネ」に関する家訓、社是、社訓としては、「腹八分目商法」(雑貨卸)のように、暴利をむさぼることなくほどほどに商いせよという戒めがありました。
 また、「投機、相場に手を出すな」(酒小売)、「保証人は引き受けるな。選挙は出るな。政治家になるな」(清酒製造)といった具体的なものも見られます。

 老舗企業の場合、事業の拡大よりも事業の持続性を重視する傾向があります。次世代に事業をしっかりつないでいくこと、存続させることを何よりも優先させるのです。老舗社長の中には、老舗企業の社長を駅伝のランナーに例えて、「先代から受け継いだたすきをかけて事業を行い、次世代にまたたすきをバトンタッチしていくのが自分の役割です」とおっしゃる方もいます。

老舗の半数超は主力事業を変えている~老舗が変えたこと、変えないこと~

(図)老舗企業の6割が事業内容を変更
 次に創業時から変えたこと、変えていないことは何かについてたずねたところ、約8割の企業が「販売方法」を一部もしくはすべて変えたと答えており、これが最も変えたと答えた老舗が多かった項目でした。続いては「商品・サービス」を変えた老舗が7割超に、「製造方法」「主力事業」を変えたと答えた老舗が半数超にのぼりました。
 老舗企業というと、昔ながらの製法や商売の方法を頑固に守り続けている企業というイメージがありますが、実際には顧客のニーズや時代の流れに合わせて変えるべきところは変えてきたのが老舗企業といえます。やはり100年以上事業を続ける中で、当然事業環境は変化していきます。その変化にしなやかに対応してきたのが老舗企業の実像なのです。
 反面、「家訓・社是・社訓等」は約4割の企業が創業以来変えていません。自らのアイデンティティーともいえる家訓・社是・社訓は大切に代々引き継がれ、販売方法や、場合によっては主力事業は時代の変化に合わせて変化していく、という老舗企業の姿が浮かび上がってきます。

 老舗の強みについてたずねたところ、「信用」と答えた企業が7割超とダントツでトップとなりました。以下、「伝統」「知名度」の順で続きます。長年の業歴に裏打ちされた無形の財産が老舗企業の強みであることを自覚していることがこの結果からうかがえます。
 反面、これまで事業を継続してきた経験から「今までのやり方で今後も問題なくいける」と楽観してしまい、保守的になり変化への対応が遅れてしまうことが老舗企業の多くが抱える悩みです。
 また、社員の高齢化というもの業歴を重ねてきた老舗企業ならではの悩みかもしれません。

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