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  • コンサルティングの現場から~3:戦略思考と事業領域3つのポイント

2016.02.26

 社長が自社を語る際に「経営戦略」という言葉をよく耳にします。多くの社長が、戦略思考を持って、自社を捉え、先を見て経営されています。
 我々がご相談を受ける社長の多くは、右腕となる人材や幹部人材には、この「戦略思考」を持ってほしい、そういう考え方ができる人材に育ってほしいと望まれています。
 今回は、この「戦略思考」と「事業領域を決める3つの切り口と3つの視点」がテーマです。
 「戦略」というと単語でビジネス分野の書籍を検索すると、ものすごい数の書籍がヒットします。経営戦略論については、学者の方、コンサルタントの方、経営者の方等、さまざまな切り口を用いて語られています。今回は、アカデミックに戦略を語るのではなく、なるべく多くの方に戦略思考を理解していただき、実際の経営、ビジネスにその発想方法を活用いただくために、噛み砕いて平素な言葉でご案内したいと思います。

戦略を発想するときの3つのステップ

(図)現在地はどこ?
 私は、コンサルティングの現場で戦略の話をするときに、例え話でよく「カーナビ」の話を使います。戦略を発想するときの3つのステップがカーナビを使うときの3つのステップとうまく重なるからです。
 3つのステップとは、次のようなものです。カーナビを起動するとまず画面に何が表示されますか?GPSを使った「現在地」が表示されますよね。これがステップ1です。
 次に、カーナビは何て聞いてきますか?「目的地を指定してください」と聞いてきますよね。それがステップ2です。
 そして最後にカーナビは、「ルートを検索します」といって、最短コースや渋滞回避コースなどルート候補を表示してくれます。これがステップ3です。

 これが戦略思考とどこが似ているかというと、ステップ1「現在地」が「現状分析」、今自社はどういう状態で、どこに立っているのかに該当し、ステップ2「目的地」が「経営目標」、会社として目指すべきゴール、到達した状態に該当し、ステップ3「ルート」が「戦略」、現在地から目的地までどのようなルートを通って辿り着くか、まさにどのような戦略を用いて、目的を達成するかに当てはまります。

戦略思考のスタートラインとは

 この[1]自社の現状を把握する、[2]目標を定める、[3]実現するための戦略を考えるという3つのステップがまさに「戦略思考」です。ここで「現状把握」が最初のステップであり、如何に重要かご理解いただけると思います。現状が把握できなければ、戦略思考は始まらないのです。
 この点もカーナビに例えるとイメージが湧くと思います。いくら目的地を入力しても、現在地が設定できなければ、2点を結ぶルートを検索することはできません。戦略思考のスタートは現状把握とゴールを定めることです。
 ここで留意いただきたいのは、ルート(戦略)の描き方に対する影響は、ゴール(目標)よりも、現在地(現状把握)の方が、与える影響が大きいということです。ゴールを進むべき方向性とするならば、未来のことですので不確実性もあります。ですから、多少の幅が存在します。ところが現状については、現在起こっている事実なので、ここを如何に正確に押えるかで、どんな戦略を描くことができるのかが大きく変わってきます。

現状把握は、自社の事業内容の定義から!そのための3つ切り口

 自社の現状を把握する場合、自社の「事業領域」を定義することから始めることをお勧めします。事業領域とは、自社がビジネスの主戦場としている領域はどこか?ということです。平たく言うと、お客さまから「社長の会社はどんな事業をしているのですか?」と問われたら、社長ご自身が何と答えるかと同じ意味合いです。
 その際、有効な切り口が3つありますのでご紹介します。社長がご説明される際に、我が社は、『[1]誰に、[2]何を、[3]どのように、提供している企業です』と3つの切り口で自社の事業を定義してみてください。それが社長の会社の「事業領域」です。
 [1]誰にとは、ターゲットとするお客さまはどこか、[2]何をとは、自社が商材としてお客さまに提供しているモノ・サービス、[3]どのようにとは、お客さまにどのような手法、手段、自社の独自性を持って提供しているかということになります。
 この3つの切り口のどこかが違えば、事業領域が異なるということになります。例えば、家電を売っている会社をイメージしてください。同じ家電を販売する会社でも、次の2社は、同じ事業領域と言えるでしょうか。
 A社:[1]誰に:シニア世代の人々に、[2]家電を、[3]どのように:対面販売および翌日配送サービスを用いて、提供している会社。
 B社:[1]誰に:シニア世代の人々に、[2]家電を、[3]どのように:御用聞きスタイルで高齢者宅を訪問し、家電の使い方と設定までしてくれるサービスとセットで提供している会社。
 お気づきの通り、3つの切り口のうち、1つでも定義が異なれば、同じ家電を販売する会社でも、主戦場が同じとは言えなくなります。逆に言うと、自社をどんな事業をしている企業かを定義しようとすれば、この3つの切り口で定義する必要があります。

現状把握に欠かせない3つの視点

 ここで一度、「戦略」という言葉について考えてみましょう。経営分野でよく使用されるこの「戦略」という単語は、元は軍事用語です。戦争の時に使用されていた用語です。
戦争とは、自国(軍)と他国(軍)の二国(軍)間で、戦うことです。二者間で勝つか負けるかの2極論の話です。相手をどう打ち負かすか、これが軍事用語の中での戦略です。
 ビジネスの世界の「戦略」について考えてみましょう。ビジネスは、自社と競合他社の2社間だけの話でしょうか?競合他社を負かせば、イコール自社の勝ちでしょうか?
 ビジネスの世界はそうではありません。戦争の世界と違って「お客様」が存在します。ビジネスの世界では、競合他社を負かすだけでは、勝ちにならないのです。「お客様に選ばれて」初めて、ビジネスで勝利するということになります。

戦略思考に不可欠な「お客さま視点」

 この第三者としての「お客さま視点」があるかが、軍事用語の「戦略」とビジネス用語の「戦略」の大きな違いです。ビジネス用語の「戦略」とは、「お客様に選ばれるためには、どのような道筋を描き、実行するか」ということに他なりません。
 つまり、現状把握に欠かせない3つの視点とは、「自社」の現状、「競合他社」の現状、「お客様」の現状です。戦略を立てるために必要な現状把握には、この3つの視点も必要になります。この「お客さまの視点」は、競合他社との競争に勝つことに集中し過ぎると、忘れがちな視点ですので、ぜひ自社の戦略を考える際の現状把握に盛り込んでください。


次回テーマは、「お客さま視点と競争力の源泉」です。

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