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  • スポーツイベントでビジネスチャンス! ~景気のミカタ~

2019.03.20

メガスポーツイベントの経済波及効果

2019年は9月から11月にかけて、全国12都市でラグビーワールドカップTM日本大会が開催されます。さらに、2020年には東京で56年ぶりとなる夏季五輪・パラリンピックが控えています。

このようなイベントが開催されるとき、さまざまな機関から経済波及効果が発表されます。ラグビーワールドカップ2019組織委員会は、大会開催による経済波及効果が4,372億円になると予測(注1)しているほか、東京都は東京五輪の準備・開催および大会後10年間のレガシー効果を含めた経済波及効果は全国で32兆3,179億円にのぼると発表(注2)しています。

経済波及効果が必要とされる理由

図表1 経済波及効果を求める理由
しかしながら、そもそも何のためにこのような試算をするのか、疑問に感じられる方も多いのではないでしょうか。
経済波及効果を試算することには、いくつかの理由があります。第一に、経済波及効果○○億円といった経済全体に与える影響を量的に把握できること、第二に、自治体や官公庁の政策形成や財政政策の判断材料に活用できること、第三に、どの産業分野にどの程度の影響が及ぶのかを推計することにより、新たなビジネスチャンス領域を明らかにできること、第四に、投入した費用に対してどの程度の便益(ベネフィット)が得られるのかを調べ、費用対効果を明らかにすることが可能となることです。そして第五に、社会全体を盛り上げて人びとの気分を明るくすることにも寄与できます(図表1)。

スポーツイベントはアイデア商品、ヒット商品が生まれる機会

このようなイベント時には、さまざまなアイデア商品がヒットしてきました。たとえば、サッカーの2006FIFAワールドカップドイツ大会では、W杯に関連するとみられる企業の銘柄を集めた金融商品、ドイツの試合会場がある土地のブドウで作られたワイン、あるいは出場国がどこにあるのかわかる地球儀など、人気を博した商品も多くみられました。

また、前回1964年の東京五輪では、東海道新幹線や首都高速道路などの交通インフラが進んだほか、コンピュータによるリアルタイムの記録管理や衛星放送技術、スローモーション画像技術なども飛躍的に進歩しました。さらに、為替自由化にともない、海外旅行も自由化されたことで、航空会社が海外旅行割賦制度を開始。また、トイレのマークをはじめ現代に続くピクトグラム(絵文字標識)も、東京五輪をきっかけに世界標準になったもののひとつです。
2012年のロンドン五輪では、英国をあげて五輪開催を盛り上げようと同国ブランドの海外発信に力を入れていました。この時、私も英国ブランドのスーツを新調しましたが、わずかながらも服飾品小売業界や運輸、卸売、繊維、貿易サービスなど、関連するさまざまな産業に波及する経路をイメージすることもスーツを着る楽しみになっていました。

新たなビジネスチャンスや損失回避のきっかけに

図表2 家計支出への影響/図表3 経済波及効果(産業別・地域別)
帝国データバンクにおいても、オリンピックや宇宙探査、ゆるキャラ、お祭りといったイベントのほか、自然災害や天候不順、事故などの企業活動にとって深刻な影響をもたらしかねない事象など、さまざまなケースの経済波及効果を算出してきました。
例えば、2017年の東京都における日照不足では、都内の家計消費支出が約189億円減少、全国には約407億円にのぼるマイナスの効果が波及すると試算し、大消費地である東京の天候不順が全国の企業に影響を与えることを示しました(図表2、図表3)。
こうしたイベントや事象が国内景気に与える影響は無視できません。また、企業が大きく発展する起点にもなり得ます。今回のラグビーワールドカップや東京五輪・パラリンピックでは、どんなアイデア商品、ヒット商品が誕生するでしょうか。

執筆:情報統括部 産業情報分析課 窪田 剛士
(注1)公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会「ラグビーワールドカップ2019™日本大会 開催に伴う経済効果の分析について」(https://www.rugbyworldcup.com/news/321850?lang=ja
(注2)東京都オリンピック・パラリンピック準備局「大会開催に伴う経済波及効果」(https://www.2020games.metro.tokyo.jp/taikaijyunbi/torikumi/keizaihakyuukouka/index.html
(注3)帝国データバンク「天候不順が企業に与える影響調査」(http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p170902.html
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