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  • テレビ視聴率でみる景気の行方 ~景気のミカタ~

2019.05.08

人びとの生活時間から現代社会の概観を掴む

経済は、人びとが日々営む活動の結果です。そのため、景気動向は、経済指標や金融政策などだけでなく、こうした日常生活の行動を追うことからも捉えることができます。
図表1 行動の種類別生活時間(2016年)-週全体平均
まずは日本に住んでいる人の生活時間を確認してみましょう。1日のうち最も多くの時間を費やしているのは「睡眠」で7時間40分です(総務省「平成28年社会生活基本調査」10歳以上の男女個人、週全体平均)。以下、「仕事」が3時間33分、「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」が2時間15分、「食事」が1時間40分、「休養・くつろぎ」が1時間37分などと続いています(図表1)。

「睡眠」「食事」など生理的に必要な活動時間や、「仕事」など社会生活を営む上で義務的な性格の強い活動時間だけでなく、各人が自由に使える時間における活動である「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」や「休養・くつろぎ」に対してもそれぞれ1日のうち1割弱の時間を割いている様子がうかがえます。
図表2 男女別仕事時間の推移-週全体、有業者、15歳以上
また、主な行動の種類について過去20年間の推移をみると、「身の回りの用事」や「休養・くつろぎ」、「趣味・娯楽」などの時間は増加傾向にある一方、「睡眠」や「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」、「交際・付き合い」などの時間は減少傾向となってきました。

さらに有業者(パート・アルバイト等含む)の「仕事」時間は、男性が6時間49分、女性が4時間47分と、男性が女性に比べ約2時間長くなっています。また、20年前と比較すると、男性は11分の減少、女性は24分の減少となっており、男女ともに減少傾向が続いています(図表2)。
図表3 6歳未満の子どもを持つ夫・妻の家事関連時間の推移-週全体
では、家庭における家事関連時間はどうでしょうか。子どもがいる世帯のうち、6歳未満の子どもがいる世帯をみると、夫の家事関連時間は1時間23分、妻は7時間34分で、家事関連の多くを妻が担っています。その内訳は、夫は家事17分(1996年比12分増)、育児49分(同31分増)、妻は家事3時間7分(同1時間1分減)、育児3時間45分(同1時間2分増)となっており、過去20年間で子どものいる夫婦が費やす家事関連の時間は大きく変化してきました(図表3)。

視聴率は景気の先行指標

図表4 景気DIと視聴率の推移
こうした日常の生活行動のなかで、景気変動との相関がみられるのが、実はテレビ視聴と言われています。特に、国民的アニメである「サザエさん」(フジテレビ)や現在でもしばしば視聴率20%を超える長寿番組「笑点」(日本テレビ)などが、景気との関連性を指摘されてきました。

いずれも日曜日の夕方に放送され(一部地域を除く、以下同)、この時間帯に自宅でテレビをみて過ごしていると想定されることから、番組の視聴率が高いと景気は悪く、視聴率が低いと景気は良好などといった見方がなされています。

しかし、近年では、少し様相が異なってきているようです。2015年以降のデータを用いて、帝国データバンクの景気DIとテレビ視聴率(ビデオリサーチ調べ、リアルタイム視聴率、関東地区)の相関関係を分析すると、日曜日の朝に放送されている「ONE PIECE(ワンピース)」(フジテレビ)との相関が最も高いという結果となりました。時差分析ではワンピースの視聴率が景気DIを概ね4カ月先行して動いており、景気の先行きを見通すにはちょうど良い指標となることが示唆されます(図表4)。簡便な回帰分析を実施したところ、ワンピースの視聴率が1ポイント上昇すると、4カ月後の景気DIは約0.37ポイント低下するとの結果もみられました。

もちろん、金曜日の夜に放送される「クレヨンしんちゃん」(テレビ朝日)や「ドラえもん」(テレビ朝日)、土曜日夕方の「名探偵コナン」(日本テレビ)なども高い相関を示しているほか、「サザエさん」も一定程度の相関関係を維持しています。

また、「笑点」は景気全体よりも、小売業や個人向けサービス業などを含む「個人消費DI」との関係が強くなっています。そして、「笑点」の視聴率は個人消費DIと概ね同時的に反応することも特徴です。

社会の変化とともに、景気は日曜日朝のテレビ視聴に注目

なぜ、景気動向とテレビ視聴率の関係性が夕方から朝に変化してきたのでしょうか。
一つの理由として、日曜日の朝(7時~9時30分)における在宅率が過去20年間で少しずつ低下していることが考えられます(NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査」)。背景には、経済のサービス化が進展したことなどにともない、日曜日に仕事をしている人が少しずつ増えているなかで、日曜日の朝がより景気に対して敏感に反応する傾向が表れてきた可能性もあるでしょう。

しかしながら、若者を中心に幅広い年齢層でインターネットを利用する時間が増加しているなかで、人びとのテレビ視聴時間は減少傾向が続いています。また、ほかのことを行いながらテレビを見ている「ながら」視聴は全視聴時間の4割弱に達しています。
娯楽の王様と言われて久しいテレビですが、さまざまな社会背景の変化をともないながらも、景気動向と視聴率の関係性は引き続き注目されていくでしょう。

(データソリューション企画部 産業データ分析課 窪田剛士)
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