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  • “春水堂”“Gong cha”――データで見る、第二次タピオカブーム

2019.05.24

~Yahoo!ニュース掲載~
フォトジェニック・インスタ映え需要を捉える


 ミルクティーの中に沈殿する黒や白の玉。大きめのストローで吸うことにより、飲み物の“美味しさ”と玉の“食感”がマッチし病みつきになる。何の話かというと、今、若者を中心に人気が集まっている“タピオカドリンク”だ。1990年代にブームとなり、一時は下火となったものの、近年そのブームが再燃しているという。

 背景の一つには、台湾スイーツの人気が高まっていることがある。台湾スイーツは、王道の“豆花”や口のなかでフワッと溶ける“雪花冰”などが有名だが、“タピオカドリンク”もその一つ。販売している商品はカラフルで、若者言葉でいうところの“カワイイ”飲み物が多い。また店舗は総じて“シャレ”ており、いわゆるフォトジェニックに敏感な若者が足しげく通っているようだ。そこで今回はこのタピオカブームを、データを用いて調べてみる。

 

業績・店舗数はドンドン拡大中

 データと言ってもさまざまだが、まずは業績。帝国データバンクの企業概要データベース「COSMOS2」に収録されている、有名なタピオカドリンク店経営業者の業績傾向をいくつか見てみよう。まずは、台湾ティー専門店「Gong cha(ゴンチャ)」を経営する(株)ゴンチャジャパン(東京都渋谷区)。甘さや氷の量を顧客がカスタマイズでき、パールと呼ばれるタピオカをトッピングするのが人気だ。当社の2016年度12月期と、2年後の2018年度12月期を比べると売上高はなんと約10倍。新規出店を加速させたことで店舗の認知度が上昇し、急激な売上増につながったと考えられる。また“日本で作る”をうたい「PEARL LADY茶BAR」などを経営する(有)ネットタワー(東京都板橋区)も業績は好調だ。特に2019年度1月期は、店舗数拡大のほか、国内においてタピオカを扱う飲食店が増加したことでタピオカ製造卸部門の受注が伸長。売上高は前期比を大きく上回っている。このように、業績ベースで見ると各社の好調さが分かるが、店舗数の推移ではどうだろう。

 帝国データバンクの信用調査報告書ファイル「CCR」と各社のHPを見ると、各社の店舗数は総じて増加傾向にある。例えば、(株)オアシスティーラウンジ(東京都港区)が経営する「春水堂(チュンスイタン)」。2014年10月は4店舗だったが、現在は13店舗にまで拡大した。また、上述の「Gong cha(ゴンチャ)」も、2016年3月までは原宿表参道店のみであったが、その後着々と店舗数を増やし2019年5月10日現在の店舗数は31店舗となっている(国内店舗のみ)。直近でも、4月26日には沖縄に沖映通り店が、5月10日には吉祥寺に2店舗目となるコピス吉祥寺店がオープンしており、積極的な店舗拡大が見受けられる。

 業績と店舗数どちらも右肩上がりで推移しており、データで見てもタピオカ人気が顕著に現れた。

ブームはいつまで続くか?

 筆者の最寄り駅でも、先月タピオカドリンク専門店が出店され、初日は若い男女で大行列となっており、ブームをまじまじと見せつけられた。最近では、タピオカドリンクをテイクアウトし原宿などのおしゃれな街を歩くことが若者のトレンドのようで、この“新たなトレンド”や“美味しさ”、“映え需要”などさまざまな相乗効果でタピオカブームは盛り上がっている。

 しかし、海外を中心としたプラスチック製ストロー規制の流れには注視しなければいけないだろうし、ブームを一過性のもので終わらせないため、顧客に飽きられないような施策も考えねばならない。一顧客としても今後、各社でどのような取り組みがなされるのか注目している。
本記事は2019/5/10にYahoo!ニュースに掲載されたものです。

過去のYahoo!ニュースでのリリース記事はこちらからご確認いただけます。
https://news.yahoo.co.jp/media/teikokudb

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