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  • 本当に個人消費の実態は捉えられるのか? ~景気のミカタ~

2019.11.22

景気回復のカギを握る個人消費、既存統計では実態見えず・・

今回の景気のミカタでは、消費税率引き上げで景況感が落ち込んだなかで、個人消費を迅速に捉える指標の開発について焦点をあててみました。

消費税率引き上げの影響、企業の景況感を下押し

図表1 消費税率引き上げ時の景気DI
10月1日に消費税率が10%に引き上げられました。政府は、前回2014年4月に8%へと引き上げられた際の影響を踏まえ、キャッシュレス決済でのポイント還元や住宅ローン減税の期間延長といった、事前の駆け込みや反動減などを平準化し、消費の大幅な落ち込みを抑える対策を相次いで投入しています。

帝国データバンクが2019年10月に実施したTDB景気動向調査でも、景況感の落ち込みがみられました(図表1)。前回の引き上げ時と比較すると、景況感の落ち込みは小幅になっています。しかし、アベノミクス効果や駆け込み需要で上昇傾向にあった前回に対して、今回は緩やかながらも景気が下振れ傾向にあったなかでのことから、今後の景気の行方が懸念されます。

小売業や個人向けサービスで顕著な落ち込みも

図表2 『小売』および「飲食店」の景気DI
消費税率引き上げの影響は小売業を中心に顕著に表れました。『小売』の景気DIは、9月から5.6ポイント減と大幅に悪化しています(図表2)。『小売』は、消費税率が引き上げられ、消費者の買い控えや駆け込みの反動がみられたほか、台風などの相次ぐ自然災害もマイナス要因となりました。悪化幅は、2014年4月(消費税率8%への引き上げ、10.7ポイント減)、2011年3月(東日本大震災、6.0ポイント減)に次ぐ、2002年5月の調査開始以来3番目の大きさです。
また、「飲食店」の景気DIは同6.3ポイント減となるなど、消費税率の引き上げを背景とした外食を控える動きに加えて、台風にともなう休業や営業時間の短縮が売り上げの落ち込みにつながっています。

特に、回答企業から寄せられる「消費税増税後に来店客が減った。軽減税率やポイント還元事業の混乱もみられる」(貴金属製品小売)や「消費税率引き上げにより売り上げが前年同月比で40%ダウンした」(肥料・飼料小売)、「消費税増税により外食が控えられている」(一般食堂)といった生の声は、実態を理解するうえで非常に貴重です。

いかに個人消費の実態を捉えるか

個人消費は国内総生産(GDP)の約6割を占めるなど、経済活動で大きな割合を占めているにもかかわらず、その実態はつかみにくいのが実状です。そのため、これまでにもさまざまな機関が消費統計を開発しており、消費の動きを探る努力が続けられています。

現状では個人消費に関して、速報性が高く、包括的に捉えられ、統計的な振れも小さく精度が高い調査統計は存在しません。世界に類を見ない消費統計である「家計調査」(総務省)は非常に有用であるものの、調査対象となっているサンプルの少なさや世帯構成の偏りなども指摘されており、個人消費の決定打となる統計はなかなか見つからない状況です。

GDP統計(確報)は、個人消費の動向を把握するうえで最も精度の高い統計ですが、GDP統計(確報)で利用されている基礎統計もサンプル調査であるため、あくまでも「真の個人消費」の近似値と言えるでしょう。ただし、GDP統計の確報値は、公表までに時間のかかる供給統計も利用しており、当該時期から1年程度、さらに精度の高い確々報値は2年程度遅れて公表されるため、速報性としてはやや苦しい面があります。

進む消費統計の開発、帝国データバンク「個人消費DI」も

図表3 個人消費DIの推移
近年では、日本銀行が2016年5月から消費に関する分析データとして「消費活動指数」の公表を開始しています。また、帝国データバンクでは、TDB景気動向調査を用いて、小売業や個人向けサービス業における企業マインドから捉えた「個人消費DI」を開発しています(図表3)。こうした動きは、消費実態を把握する大きな助けとなるでしょう。

今後の景気回復のカギは個人消費が握るといっても過言ではありません。経済の正確な現状把握は的確な政策に欠かせないだけでなく、新たなビジネスチャンスを発見する大きなヒントにもなりえます。消費関連統計のさらなる充実が望まれるところです。

(データソリューション企画部 産業データ分析課 窪田剛士)

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