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  • 「パンデミック」による経済への影響 ~景気のミカタ~

2020.03.18

新型コロナウイルスの拡大が世界的に広がっている・・

今回の景気のミカタは、感染症の世界的な拡大を意味する「パンデミック」が経済に与える影響について、焦点をあてています。

新型コロナウイルス、中国の生産に前例のないダメージ

図表1 製造業PMIと非製造業PMI(購買担当者景気指数)
国内景気が急速に悪化しています。もともと消費税率引き上げによる消費減退や、暖冬の影響などが色濃く残るなかで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19。以下、新型コロナウイルス)によるショックが追い打ちをかけた格好です。

とりわけ、新型コロナウイルスの発生源となった中国経済の落ち込みは大きく表れました。中国国家統計局の発表によると、中国における景況感を表す代表的な指標であるPMI(購買担当者景気指数)は、製造業で1月の50.0から2月の35.7へ、さらに非製造業は54.1から29.6へと落ち込みました(図表1)。まさに過去に例のない、大幅な悪化です。

帝国データバンクが毎月実施している「TDB景気動向調査」から得られる景気DIをみると、とりわけ「旅館・ホテル」は宿泊予約のキャンセルが相次ぎ、2002年5月の調査開始以降で最大の悪化幅を記録しています。また、旅行客の減少は、旅行業やバス・タクシーなど自動車運送業の景況感を大きく押し下げることとなりました。

他方、少数ながら業績にプラスの影響があったという企業もあります。例えば、備蓄用の保存食などの食品製造や卸・小売のほか、消費者が店頭から通信販売での購入を増加させた通信販売業界、またこれまで中国に発注されていた電気機械や繊維製品などの国内回帰を受けた製造業などです。医薬品・日用品小売は1割程度の企業でプラスの影響と捉えていました。

パンデミックによる経済的コストは、感染拡大防止策が最も大きく

図表2 新型コロナウイルスによるサプライチェーンへの影響
2019年に日本が中国から輸入した主な品目をみると、輸入額のうちスマートフォンをはじめとした通信機を含む電気機器が約3割、パソコン等の電算機類を含む事務用機器が約1割となっており、これらを含む「機械類及び輸送用機器」は全体の50%超を占めています。また、衣類等は輸入額の10.5%です。そしてこれらの輸入品は、多くが日本国内におけるサプライチェーンに組み込まれています。

日本経済においては、中国との輸出入に直接関わる企業だけでなく、インバウンド需要の落ち込みや外出の手控え、政府による大規模イベントの自粛要請など、川下の消費関連企業から川上の素材関連企業までサプライチェーン全体に影響が及んでいます(図表2)。
図表3 パンデミックの経済的影響
また、WHO(世界保健機関)は3月11日、新型コロナウイルスの感染拡大について、世界的な流行を意味する「パンデミック」にあたると宣言しました。このような「パンデミック」による経済的なコストは、どのような形で生じるでしょうか。この点を調べていくと、感染症の拡大において、何が最も大きく影響を与える要因になるかが見えてきます。
世界銀行の研究※によると、パンデミックにともなう主なコストは3種類に分類されます(図表3)。

1.死亡
労働者が死亡することによって経済活動ができなくなるコスト。マイナス0.4ポイント。
2.病欠
労働者が欠勤することによって経済活動ができなくなるコスト。マイナス0.9ポイント。
3.感染拡大防止にともなうコスト
感染拡大防止のために人びとの移動や旅行を制限することによって生じるコスト。マイナス1.9ポイント。

上記を比較すると、GDPに与える影響の大部分は第3の「感染拡大防止にともなうコスト」であり、全体の6割以上を占めています。今回の新型コロナウイルスへの対応では、多くの国が感染拡大の防止を図るために入国制限や行動制限を課しています。人びとの健康や生命を守るために最善を尽くすことはもちろんですが、経済的影響もそれに応じて大きくなることもまた事実です。

経済活動の基礎となるヒト・モノ・カネの移動を制限することは、やはりそれだけ大きな影響を及ぼします。そうした措置によって生じる損失等は、大規模な支援によって補うことが必要とされます。最善の希望を持ちつつ、最悪への備えが重要でしょう。

※Andrew Burns, Dominique van der Mensbrugghe and Hans Timmer, “Evaluating the Economic Consequences of Avian Influenza,” World Bank, September 2008

(データソリューション企画部 産業データ分析課 窪田剛士)

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