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  • これからの経営に欠かせない観点、SDGsとは?

2021.01.28

[企業審査人シリーズvol.231]


冬本番、今にも雪が降り出しそうな曇り空の日、営業課の八木田は数軒の得意先に訪問し、手短に年始の挨拶と営業を済ませて会社に戻ってきた。年末からコロナ感染の第三の大波が襲来したため、改めて対人接触を控える雰囲気に加え、そうした状況ゆえ年始の休みを長めにとる企業もある。このため、八木田の年始訪問先も例年より大幅に絞り込まれ、近場の親しい先のみとなった。ウッドワーク社の社内でも改めて在宅勤務や直行・直帰が拡大し、出社しているメンバーは少ない。
提出する書類があって総務フロアに立ち寄った八木田は、人のまばらな経理課のスペースに木下がいるのを見つけ、さっそく声をかけた。
「ハロー、ミスター木下。ニューイヤーがスタートしましたが、調子はどうですか?」
「お久しぶりですね、八木田さん。明けましておめでとうございます、というにはちょっと遅いですが…。今日は2日振りの出社ですよ。経理業務もペーパーレス化が進んでテレワークで対応できる業務が増えました。営業も外回りがまた減ってきたと聞いていましたが、八木田さんは今日訪問があったのですね?」
「イエス!おっしゃるように訪問は減っていますが、今日はたまたまアポイントがあったので。普段なら直帰するのですが、総務課に提出するペーパーがあったので立ち寄ったのです」
「コロナも落ち着かないし、寒いし、大変ですよね。訪問先での話題は、やはりコロナ関連が中心ですか?」
「確かに、コロナとニューノーマルに即したビジネスの話が多いのは間違いないですが、SDGs(エスディージーズ)の話も多くなってきていますな」
「SDGs!私も聞いたことがありますよ。Sはサステナブル・・・でしたっけ?」
「Sustainable Development Goals!つまり、持続可能な開発目標です。2015年の国連サミットで同意されて、2030年アジェンダに掲載されている世界共通のゴールです」
「貧困や飢餓の根絶なども謳われていましたよね。企業活動との関わりがいまひとつピンときていませんが」
「SDGsには17の目標がセットされていて、自社の企業活動にそのいくつかをあてはめて取り組みをしているケースが多いようです。『働きがいも経済成長も』といったテーマに取り組むところが多いようですな」
「まずは業績達成ですね。そういうことに積極的な姿勢が企業のイメージアップにつながるのでしょうね」
「ザッツライト!自社の損得以前に、SDGsへの取り組みはマストになりつつあります。とくにワールドワイド・カンパニーでこの取り組みに無関心なところは今後、資金や人材が集まりにくくなる、と私は読んでいます」
「なるほど。SDGsへの無関心がリスクの一指標になり得るかもしれませんね」
「以前よく言われていた、企業のCSR、つまり社会的責任に対する取り組みにリンクしているとも言えるでしょう。また、SDGsに並びESGも最重要キーワードの一つで、環境(Environment)、社会(Social)、そしてガバナンス(Governance)をどの程度、考慮しているかも、投資家が企業をチェックするポイントになっています」
「環境問題への取り組みは製造業などでかなり定着してきましたね。私もマイボトルやエコバックを持ち歩いたりしていますよ」と、木下は最近買ったお気に入りのマイバッグを八木田に見せたくなったが、自重した。
「ベリーグッドです、木下さん。意識すること、続けることが大切です!マイ・サンにも、お遣いを頼むときはマイバックを持たせて、環境問題を考えさせるようなエデュケーションをしていますからね」
(舞さん?テレワークの画面越しに見た八木田さんのお子さんは男の子だったような・・・ああ”My son”か!)と木下が頭の中で翻訳し、苦笑した。
「でも、実際のところ、どんな取り組みをみなさん、されているのでしょうか?」
「多くのカンパニーが意識し始めた、と感じるのは女性の社会進出への寄与度ですね。女性管理職の登用は優秀な女性社員の入社意欲に影響しますから」
「なるほど、我が社でも審査課の中谷さんは女性のキャリアの光になっていますからね」
「中谷さんは切れ者ですからね。私も審査案件で取引の見直しを求められて、後でその会社が倒産して救われたことがありましたよ。あとは、メーカー系で多いのは環境を意識した取り組みです。最近よく聞くのはサーキュラー・エコノミーですな。そう、サーキュラー・エコノミー」と、八木田が巻き舌の発音を繰り返した。
「サーキュラー?あまり聞いたことがありませんが・・・」
「サーキュラーとは循環を意味します。廃棄物を出すことなくリソースを再活用する経済システムです」
「なるほど、リサイクルの徹底ですね。再利用してお金にする、というやつですか」
「それはリサイクリング・エコノミーですな。廃棄物は出てしまうけど、それをできるだけリサイクルする、という考え方です。サーキュラー・エコノミーはもう一歩進んで、そもそも廃棄物を出さないことを目指します。これまでの、ライフサイクル・コスティングの考えにパラダイムシフトが起こっているんです」
「発想の転換ですね!でも、その実現は何だか容易じゃなさそうですね・・・」
「メーカーが本格的に取り組む例もありますが、小さなチャレンジ例もありますよ。例えば、企業が保有する会議スペースなどのアセットをシェアして活かすメソッドも、サーキュラー・エコノミーのひとつなのです」
「それはまたずいぶん広い解釈のような気がしますが、あらゆるリソースをムダにせず有効活用する、という考え方なのですね。そういえば日本語の『もったいない』が海外でも使われていると聞いたことがあります。そういうことなら、私たちの職場でも何かやれそうですね」
「ザッツ・グッド!ではまず我らでオーガナイズしましょうか。サステナブルズなんてコンビ名でどうですか?」
2人のサステナブルな会話はこの後、さらに30分も続いて、ようやくゴールに辿り着いたのだった。

多くの企業が着目するSDGs

世界を変えるための17の目標
 SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、2015年9月の国連サミットにおいて、世界193カ国が産官学民などのステークホルダーとともに同意した「2030年アジェンダ」に掲載されている世界共通の目標です。この17の目標を列挙すると以下の通りとなります。

<世界を変えるための17の目標>
①貧困をなくそう
②飢餓をゼロに
③すべての人に健康と福祉を
④質の高い教育をみんなに
⑤ジェンダー平等を実現しよう
⑥安全な水とトイレを世界中に
⑦エネルギーをみんなに そしてクリーンに
⑧働きがいも 経済成長も
⑨産業と技術革新の基盤をつくろう
⑩人や国の不平等をなくそう
⑪住み続けられるまちづくりを
⑫つくる責任 つかう責任
⑬気候変動に具体的な対策を
⑭海の豊かさを守ろう
⑮陸の豊かさも守ろう
⑯平和と公正をすべての人に
⑰パートナーシップで目標を達成しよう

なお、企業のSDGsに対する関心についてご興味ある方は、2020年6月にTDBが調査した「SDGsに関する企業の意識調査」をご参照ください。

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