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  • テレワークの普及で進む企業の手当見直し~景気のミカタ~

2021.04.23

働き方が変化するなか、企業は各種手当の見直しを進めていますが・・

今回の景気のミカタは、新型コロナウイルスを契機にテレワークなど働き方が大きく変化するなかで、企業の各種手当などの見直しについて焦点をあてています。

新型コロナウイルス下でテレワークが普及

図表1:デジタル施策の取り組み内容
国土交通省「テレワーク人口実態調査」(2021年3月19日公表)によると、テレワーク制度などに基づく雇用型テレワーカー[1]の割合は、2019年度の9.8%から2020年度は19.7%へと上昇しました。

政府は「世界最先端IT宣言・官民データ活用推進基本計画」(2017年5月30日閣議決定)において、テレワークの普及に関するKPIのひとつとして、2020年に雇用型テレワーカーの割合を2016年度比で倍増(7.7%→15.4%)させるとしていました。新型コロナウイルスの感染拡大によってテレワークの導入が進み、はからずも目標を達成した格好です。

また、帝国データバンクの調査[2]によると、2020年8月時点で新型コロナウイルスを契機として自社のデジタル施策に取り組んでいた企業は75.5%にのぼり、そのうち52.7%が“テレワークなどリモート設備導入”をあげています(図表1)。しかし、テレワーク等の導入状況は業種により大きな違いがみられます。具体的には、インターネット接続業などを含む「電気通信」のほか、「情報サービス」「放送」では導入企業の割合が7割を超えていた一方、「自動車・同部品小売」「専門商品小売」などの小売業、「飲食店」や「旅館・ホテル」などのサービス業、「医療・福祉・保険衛生」などのエッセンシャルワーカーを抱える業界ではテレワークの導入が低位にとどまっていました。

企業からは「テレワーク、リモートワーク需要増加による販売増」(電気通信)といった声がある一方、「業種的にテレワークなどできない」(ガソリンスタンド)など、事業内容による導入の困難さを指摘する意見も聞かれています。

さらに、同調査に回答した1万2,000社をサンプルとして回帰分析を実施したところ、テレワークの導入に対して従業員数が多い企業ほど導入確率が高く、従業員数が1,000人増加すると導入確率が0.209%ポイント上昇することが示唆されています[3]。

働き方の変化で企業の各種手当の見直し進む

図表2:諸手当の種類別支給企業割合
こうしたテレワークなど働き方の変化にともない、企業が支給する各種手当にもさまざまな変化がみられています。その一例が通勤手当でしょう。通勤手当は企業の92.3%が支給しており、「家族手当、扶養手当、育児支援手当など」(68.6%)や「技能手当、技術(資格)手当など」(50.8%)、「住宅手当など」(47.2%)を含めて、企業の代表的な手当と言えるのではないでしょうか(厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」2020年10月30日)(図表2)。

こうしたなか、通勤手当をこれまでの定額支給(定期代など)から実費支給に切り替える企業が増えています。企業側からみると、通勤手当を実費精算にすることで出社日数によっては支出を抑えることも可能になります。

他方で、労働者側からみると別な側面が浮かび上がってきます。通勤手当などの諸手当は社会保険料を算出する報酬月額に含まれるため、通勤手当の受け取り額減少により毎月の社会保険料が減少することも起こりえます。結果として、将来の老齢年金の受給額が減少する可能性もあるでしょう。さらに老齢年金だけでなく、病気やケガによって生活や仕事などが制限された場合に給付される障害年金や、国民年金または厚生年金の被保険者または被保険者であった方が亡くなったときに家族が受け取る遺族年金にも影響するかもしれません。

もちろん、実費精算にともない従業員が不利益を受けないよう、在宅勤務手当など新たな手当を導入する取り組みを進めている企業も多く存在します。また企業側としても実費精算による経理部門の処理増大といったコスト負担の増加が生じる可能性もあります。新しい働き方に対応する社内ルールを整備する必要性が高まっているなかで、労使双方で十分な理解を図ることが重要となるでしょう。


[1]「雇用型テレワーカー」とは、社内規定などでテレワーク等が規定されている、または会社や上司などからテレワーク等を認められている雇用型就業者のうち、テレワークを実施している人のことを表す。
[2]帝国データバンク、「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年8月)」、2020年9月9日発表
[3]帝国データバンク、「テレワークへの取り組み」、レビュー No.9、September 28, 2020

(データソリューション企画部 産業データ分析課 窪田剛士)

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