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  • SDGs景気DIが示す企業社会の将来とは~景気のミカタ~

2021.05.21

SDGsへの取り組みが企業の成長を促すカギに・・

今回の景気のミカタは、企業の取り組みが急速に広がっているSDGsについて、企業業績との関連を確認するとともに、SDGsに積極的な企業の景況感を表すSDGs景気DIを捉えることで、将来における企業活動の重要なカギとなる動きについて焦点をあてています。

企業で広がるSDGsへの取り組み

いま、SDGs(Sustainable Development Goals, 持続可能な開発目標)に関する取り組みが国内外の政府、自治体、民間企業など、さまざまな主体の間で広がっています。

SDGsは2015年9月の国連総会で、国連加盟の193カ国すべてが賛同した、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットから構成される国際目標です。公的機関だけでなく民間企業の取り組みが活発になっている背景には、SDGsのなかに経済・社会・環境のすべての分野で持続可能な総合力のある成長目標を持っていることも重要な意味を持っているのではないでしょうか。

帝国データバンクの調査[1]によると、SDGsに対しておおむね4社に1社が積極的な姿勢を示していますが、一方でSDGsの存在は認知しているものの取り組んでいない企業も半数近くありました。特に中小企業においてはSDGsの重要性を理解しているにもかかわらず取り組んでいない企業も多く、「SDGsは大変意義のある重要なことだとは理解しているが、会社の売り上げや利益につながるのかがよく分からない」や「自社へのメリットがあるかどうかが分からない」など、自社業績との関係の不明瞭さが取り組みに躊躇するひとつの理由として挙げられています。

この点については、TDBがSDGsに取り組んでいる企業のROA(総資産営業利益率)やROE(自己資本純利益率)について分析したところ、大企業・中小企業のいずれにおいても企業全体のROA・ROEを上回る、という結果が得られています[2]。これは必ずしも因果関係を示すものではありませんが、SDGsへの取り組みと業績との関係を表す第一歩となる重要な成果です。こうしたSDGsに関するさまざまな分析をはじめ、SDGsと企業活動とのつながりを示す情報の提供などが、企業によるSDGsへの取り組みを加速させる重要なカギになると言えるでしょう。

SDGsに積極的な企業の景況感は全体より良好な傾向

図表1:SDGs景気DI(総合)の推移
それではSDGsに取り組んでいる企業の景況感はどのような状況なのでしょうか。帝国データバンクでは、SDGsに関する調査結果と「TDB景気動向調査」を基にして、「SDGs景気DI」「潜在SDGs景気DI」『SDGs景気DI(総合)』という3種類の景気DIを算出しています。

「SDGs景気DI」は、SDGsに関して「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」企業の景況感を表します。また、「潜在SDGs景気DI」は、同様に「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」企業の景況感を示しています。この2つを統合した指標である『SDGs景気DI(総合)』は、SDGsにすでに取り組んでいる企業と、今後取り組もうと考えている企業、つまりSDGsに対して積極的な企業の総合的な景況感を意味しています。

これらの結果をみると、2020年1月から2021年4月までの『SDGs景気DI(総合)』は、全体の景気DIを概ね上回って推移していました。SDGsへの取り組みに積極的な企業の景況感は、全体より良い傾向にあることが明らかになったのです(図表1)。
図表2:SDGs景気DI・潜在SDGs景気DIの内訳(2021年4月)
さらに、SDGsの17の目標を『人類の活動』といった視点から「環境活動」「社会活動」「経済活動」「パートナーシップ」という4つの視点で分類[3]し、各視点における企業の景気DIも算出しています。その結果、「目標13:気候変動に具体的な対策を」や「目標15:陸の豊かさも守ろう」などに取り組んでいる企業の景況感を表す「環境活動DI」が他の視点よりも高い水準となっていました(図表2)。

SDGsへの取り組みを通じて持続可能な成長を目指すべき

世界的に環境保全に向けた取り組みは加速しており、日本においても政府が「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ」を目標に掲げています。こうしたなかで、環境活動に注力している企業の価値向上や政府による支援が景況感を押し上げる一因になっていると考えられます。企業からは「環境・景観に配慮した製品の開発を通して住環境を含む社会生活の向上に貢献する」といった声にあるように、環境意識の高まりに合わせたビジネス展開を行っている事例もみられています。

企業がSDGsに取り組むことは、企業イメージの向上や優秀な人材の確保などのメリットを得ることにつながります。さらに、SDGsを通じて社会の課題を認知し、対応することで経営リスクを回避することも可能となるでしょう。それは持続的な成長の実現をもたらします。こうしたSDGsが持つ性質から金融機関や投資家の間では、企業がSDGsに取り組んでいるかどうかを融資や投資の判断材料にする動きが広まってきました。

例えば、金融機関において、金利などの借入条件を事前に設定したサステナビリティ目標の達成度と連動させる融資「サステナビリティ・リンク・ローン」や、環境に配慮した経営または環境良化・改善を目的とする設備投資を行う企業を対象とする「環境配慮型融資商品」など、さまざまな金融商品が開発されています。
実際、SDGsに取り組む中小企業では、金融機関の融資姿勢が積極的になっていることも景気動向調査から明らかとなりました[4]。

帝国データバンクでは、こうしたSDGsに関する調査や分析を数多く行っています[5]。企業はSDGsの目標・ターゲットを確認し、自社の活動に結び付けることでビジネスチャンスをつかみ、持続可能な成長を目指す時ではないでしょうか。


[1]帝国データバンク、「SDGsに関する企業の意識調査」、2020年7月14日発表(https://www.tdb-di.com/special-planning-survey/sp20200714.php)
[2]帝国データバンク、「SDGsと企業経営」、政策レポート No.2、September 10, 2020(https://www.tdb-di.com/posts/2020/09/p2020091001.php)
[3]本分類は、スウェーデンで提唱されたSDGsの概念を表す構造モデルである「SDGsウェディングケーキモデル」に基づきながら、帝国データバンクにより再構成しています。また、本分類は、2015年に開催された国連の持続可能な開発サミットにおける成果文書「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(2030年アジェンダ)との関連も考慮しています。「2030年アジェンダ」については、外務省「『持続可能な開発のための2030アジェンダ』を採択する国連サミット」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/gic/page3_001387.html)を参照
[4]帝国データバンク、「ESG投資とSDGsへの企業の取り組み」、レビュー No.15、November 13, 2020(https://www.tdb-di.com/posts/2020/11/r2020111301.php)
[5]帝国データバンクが行っているSDGsに関する調査や分析などは、「SDGs(持続的な開発目標)関連のレポート・コラム」(https://www.tdb-di.com/posts/2021/04/col2021040801.php)を参照

(データソリューション企画部 産業データ分析課 窪田剛士)

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