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2021.09.06

∞∞ Data Designers ∞∞

~セゾン情報システムズ マーケティング部 野間英徳氏・高山真彰氏~

株式会社セゾン情報システムズは、様々なデータを繋ぐ連携基盤サービスを提供し、ビジネス意思決定を支援しています。DXの流れが加速するなか、データ連携の重要性をお客様へ伝える活動をするマーケティング部 部長 野間英徳氏(写真左)とマーケティングコミュニケーションチーム チーム長の高山真彰氏(写真右)にお話しを伺いました。
高山氏は2018年4月にオラクルが開催した「Modern Customer Experience 2018」において、セゾン情報システムズがMarkie Awardファイナリストに選出された際のデジタルマーケティングのメイン担当者です。
-まずはBtoBマーケティングを取り巻く環境と自社の取り組みの変化について教えてください

(野間氏)大昔はふらっとお客様のオフィスへ立ち寄って「何かありませんか」という営業スタイルが成り立っていましたが、セキュリティが高くなり、そのような営業のドアノックはできなくなりました。その後、情報を届けるツールとしてメールという手段が台頭し、進化を遂げてきました。しかし、多くの企業のマーケティング部門がメールを送るようになり、お客様側は情報が多すぎて受け取りきれなくなってきました。自分に関係がないと思われたらメールは開かれませんので、ストレートに伝わるものでなければならないと感じています。さらにコロナ禍において、対面活動が減った一方でデジタルを活用した施策が増えていることもあり、このような傾向はより強くなっていますね。そのため、必要な人にメッセージを届けるために、お客様のセグメントを丁寧に行った施策に取り組むようにしました。

同じ業種でも営業向け、マーケティング向け、経理向け、IT向けなのかによってそれぞれ刺さるメッセージは異なります。当社が提供するデータ活用基盤を構築するサービスにおいても、営業やマーケティングは「売上につながること」、経理は「決算業務が楽になる」、ITであれば「安全にシステムに負荷がないように」などを訴求する必要があります。


-社会全体でデータ活用の気運が高まっていると思いますが、データ基盤に関するサービスを提供する貴社はどのように感じていますか?

(野間氏)データ活用を進めるためには、社内の複数のシステムに点在するデータを統合・連携する基盤が必要であることは理解されていますね。しかし、いざ取り組んでも、相当ハードルが高いので、思い通りにいかないというケースは多く聞きます。
そこで、専門知識がなくても、複数のシステム間で連携できるようデータ処理を行うことができるEAIやETLツールが注目を集めるようになりました。おかげ様で当社への引き合いも非常に増えています。

※EAIツール
Enterprise Application Integrationの略。複数の業務アプリケーションを統合して、1つのシステムとして活用するための仕組み
※ETLツール
Extract(抽出)、Transform(変換)、Load(格納)の略。複数のシステムからデータを抽出し、抽出したデータを変換/加工し、書き出せるツール


(高山氏)ただ、ツールを導入するだけでは、お客様にとって不十分なことが多いし、競合との差別化もできませんので、現在はデータ連携ソフトウェアを中核に、企業内に分散したシステム/データを繋ぐことで経営情報の可視化、業務効率化、意思決定まで支援するサービスを展開しています。当社のマーケティングの組織体制もプロダクト単位から、データ連携を通してお客様の課題解決を支援するというより大きな括りにかわっています。


-では、マーケティング活動で重視しているポイントは何でしょうか?

(野間氏)マーケティング部門としては、営業に無駄な活動をさせないことが重要だと考えています。どれだけ濃度の高いもの、すなわち当社サービスに興味を持ってくれるお客様を見つけ出すかというのが一番大切な役割ですね。そうすれば営業は当然喜ぶし、お客様側も同じはずなんですよね。お客様も自分が情報を欲しいタイミングの時だけ連絡をしてほしいと思っているはずです。お客様から「良い時に声かけてくれたね、困っていたところなんだよ」と言われることをマーケティング部門は1つの喜びにしたいですね。端的に言えば、営業に無駄な活動をさせないというのは、お客様のニーズに的確なタイミングで的確な内容をお伝えすることです。
理想のファネル
-成果に結びつけるために具体的に取り組んでいることを教えてください

(高山氏)コンテンツは“短く”をテーマに掲げています。情報を受ける方も忙しいので、負担をかけないようにしています。例えば、30分で作っていた動画を3分に縮めたりしています。30分を3分にしても内容は1/10になりませんし、30分の動画を最後まで見てくれる人が30%よりも、3分の動画を80%の人が見てくれる方が良いと思っています。
メールについても同様で、どれだけ正しいことを長く書いても最後まで読んでもらえなければ意味がないので、メールを開いた瞬間に内容が分かる位の方が良いとチームでは意識を統一しています。そのため、以前よりも資料は見やすさを追求したり、メッセージをいかに短く伝えるか、図解を使うなどの工夫に力をいれています。

メッセージをお届けする対象のお客様は、企業の業種と人の業務でセグメントを細分化しています。例をあげると、イベント出展です。以前は、大規模な展示会で名刺を集めて、そのリードに対してナーチャリングを行っていました。しかし、テーマのくくりが大きな展示会の場合、名刺を多く集められたとしても、抱えている課題が広すぎて、こちらからのメッセージもぼやけてしまいがちです。そのため、経理財務、マネロン対策などテーマを絞ったイベントを選定しています。大規模イベントで1,000件集めた名刺から見込みが高いお客様が1件よりも、テーマを絞ったもので100件集めて50件にするという考え方です。究極、長方形のファネルが理想ですね(図参照)。
-セグメントの細分化やメッセージを短くするなど新たな取り組みをしていますが、マーケティングチームのリソース配分も変わっていますか?

(高山氏)セグメントを細分化したため、財務経理、マネーロンダリング対策などテーマ毎の担当が必要になります。その業界や業務を理解していなければ興味関心を高めるシナリオは書けません。これまで大規模イベント出展に費やしていた時間を細かいセグメントのシナリオを作るためのインプットとアウトプットの繰り返しに充てています。今までは、製品のことを理解して、ある程度語れればよかったのですが、細分化されたお客様の課題とマッチさせた話ができなければ、お客様の興味を引くことできません。

(野間氏)これまでのファネルに応じた組織ですと、「イベントで○○人集めましたので、あとはお願いします」と人を集めることが目的になってしまう部分が少なからずあったと思います。しかし、目的は集めた人を受注につなげることなので、セグメント毎に接点をつくるところから受注に至る一連の流れを担当してもらうように体制を変えました。メンバーは大変だと思いますが、お客様起点で考えれば必要な変革であると思います。

(高山氏)ただ、取り組むべきセグメントとそうでないところを見極めることは重要ですね。あるとき、ある製造業に営業担当がヒアリングをしたところ、当社サービスに興味を持ってくれたので、横展開しようとなったのですが、よく調べてみるとターゲットとなる企業が数十社しかありませんでした。取り組むセグメントのビジネスポテンシャルを把握することの必要性を改めて感じた事案でした。

(野間氏)ビジネスポテンシャルの把握については、売上規模や儲かり度合などを業界ごとに見ていますね。調査会社やシンクタンクが公表する業界動向や統計データなどを参考にして、セグメンテーションして優先順位をつけています。基本行動として新聞を読んで世の中の動きをつかむようになど、アドバイスしていますね。


-データを活用する観点では、どのようなことに取り組まれていますか?

(野間氏)ある製品のオプションが良く売れているという事象があったとき、どの業種に売れているのかという傾向をみます。例えば銀行に暗号化オプションが売れているなら、その背景を探ります。手形の電子化が進んでいるという潮流が要因と考えられるので、未導入の先はどこであるか、ホワイトスペースをみつけてアプローチをします。データで傾向を掴み、その要因を人が掘り下げていきます。当たり前のことかもしれないですが、重要ですよね。

データを活用するためのリテラシーも、もっと高める必要性を感じており、教育にも力を入れています。まずはデータを見ることに慣れていくところからですね。初歩的な例でいえば、売上データの表を見て何を考えたらよいのかというケースです。
「業種ごとに訴求したいのであれば、業種で分けてから並び替えましょう」、「業種ごとの売上合計を出すことで、どの業種が儲かっているかわかります」、「儲かっている業種はわかったが、当社のお客様は少ないですね」、「データをみるためには、整理整頓が必要です」など、そのデータから何を言いたいのかを考えられるようにコミュニケーションをとりながら、エクセルでも十分できるレベルから始めています。統計学を駆使した分析ができればいいのですが、一足飛びには無理なのでデータ解釈士のようなレベルにはなってもらうように進めています。


-セグメント細分化やサービス提供形態の変革、データリテラシーの底上げなどの成果はいかがでしょうか?

(野間氏)これらの取り組みの成果として2割以上の受注アップにつながっています。間違いなく、セグメントを分けたことで、しっかりとお客様が反応してくれた結果だと思います。

しかし、成果をもっと高めるためには、もっとデータ活用するための時間が必要だと感じています。現状はデータを見て施策を検討する時間が足りていません。データを分析するためには、整理など準備に手間がかかります。準備するのが9割、データをみるのが1割だとすると、この割合を逆転したいです。データを見る時間がないから、活用もできないと思っています。

(高山氏)セグメント毎の担当に変わってから、川上から川下まですべて行うので時間がどうしてもかかります。イベント登壇、コンテンツ制作、メール配信などを行い、その結果がどうだったのかというデータを見る時間が短くなってしまいます。施策の効果測定のサイクルも短くすることがチームの目標でもありますので、なるべく手間をかけずに結果を見る必要があります。それであれば、データを見る前の作業として手を動かす部分は自動化して結果のデータをみることができる状態が理想ですよね。

また、コンテンツさえ準備しておけば自動にお客様をピックアップして、売上規模や信用度が一定以上であればメールを配信することにも、もっと取り組んでいきたいですね。
他には企業属性、商談情報、メールやWebサイトの閲覧状況などを組み合わせて見込みが高そうなお客様の発掘に、AIを使う取り組みも進めています。まだ取り組み途中ですが、このようなデータも組み合わせて自動化を進めていきたいですね。


-ビジネスポテンシャル把握に企業属性を利用しているとのことですが、帝国データバンクが保有する大量の企業データを自由に使えるとすると何をしたいですか

(高山氏)大手企業と取引する場合、「システムの運用は関連会社が行うので、契約はそちらで」となることも多くあります。そうすると、既存取引先の業種傾向を分析すると情報システム系が上位を占めてしまいます。業種が情報システム系でも、銀行の子会社であれば銀行で括りたいですし、運輸の子会社であれば運輸で括るなどしたいですね。帝国データバンクさんは資本系列のデータも保有しているので、うまく使えばこの問題も解決できそうですね。

あとは、取引というお金の流れもデータとしてありますよね。TDBさんのホームページにも動画が掲載されていますが、物流大手の鈴与株式会社様が取引のデータと自社で保有する物流データを掛け合わせて、どの企業がどのような物流課題を持っているのかという仮説を基に営業成果をあげているという話は非常に興味深いですね。当社はデータ基盤を構築してビジネス成果をあげるお手伝いをしているわけですが、お客様がどのようなサプライチェーンにあって、どのような取引があるのかがわかると、支援の幅も広がっていくのではないかと思います。やはり、世の中に出回っていない資本系列と取引に関するデータは魅力的ですね。


-TDBカレッジは「ビジネスパーソンのデータリテラシーを高める」をコンセプトに運営しています。ビジネスパーソンに向けてアドバイスをお願いします

(高山氏)やはり、目的を明確にすることですよね。データドリブンというのは、「鶏が先か、卵が先か」みたいなところがあって、施策を行った結果を見たらわかるのか、先にデータを見た傾向から施策を検討するのか、と両側面ありますよね。現状は、施策をやって結果のデータをみることが多いのかなと思いますが、結果のデータをしっかりと検証して蓄積していくことで、徐々に先にデータをみて施策を考える割合が増えていくのではないかと思います。データを見て施策を実行し、結果のデータを検証するという、ひとつひとつの小さな積み重ねが必要だと思います。


-お二人にとって”データ”とは?

(高山氏)青山学院大学陸上競技部の原監督が仰っていたのですが、「データは、事実と真実をちゃんと分けることができる」という言葉はまさにその通りだなと思います。真実は人の立ち位置によって変わりますが、事実はひとつなんですよね。老若男女、役職問わずその事実は事実であり、情報の定義を統一でき、目線が同じになります。

(野間氏)そういう意味において、データは“第三者目線の共通言語”と言えます。

ビジネスでいえば、売上はわかりやすいですね。ここにこれだけ売れていますという事実は、どこからどう切り取っても、売上という数字のデータがあるわけです。その売れ方には色々あるのかもしれませんが、売れているという事実はひとつです。事実が積み重なることで信用となり、その事実を正しく使うことで、自分たちが今取り組もうとしていることの自信や後押し材料になるのではないかと思います。

※原監督へのインタビューはセゾン情報システムズ様のサイトでご覧いただけます
https://www.hulft.com/hulft_square/interview_2-1.html


(聞き手:株式会社帝国データバンク 営業推進部 貞閑 洋平)

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