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  • 急回復する観光産業に人手不足という名の危機~景気のミカタ~

2023.05.19

観光産業の景気は急上昇も、抱える問題が深刻!?

今回の景気のミカタは、新型コロナ禍で大きなダメージを受けた観光産業において、景況感が急上昇している一方で、人手不足が回復の下押し要因となっている点に焦点をあてています。

2023年4月の観光DIは48.4と過去最高、全産業の景況感を2カ月連続で上回る

図表1
2023年5月8日、新型コロナウイルス感染症に関する感染症法上の位置づけが、これまでの「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」から「5類感染症」へ移行しました。また、これに先立つ3月13日には、マスクの着用が個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本とすることになりました。こうしたなか、日本経済は、人出の増加とともにポストコロナ社会に向けた動きが急ピッチで進んでいます。新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)により非常に大きなダメージを受けた観光産業においても、明るい材料が表れてきました。

観光産業[2]の景気動向については、昨年に当コラム[1]で“ウィズコロナ時代の幕開け”を示すきっかけになる可能性を述べました(2022年11月18日)。このときから約半年が経ちましたが、観光産業の景気はどうなったか、改めて確認してみましょう。

2023年4月の観光DI[3]は、3月から1.9ポイント増加し48.4となりました(図表1)。これは2002年5月の調査開始以降で最高の水準です。観光産業は新型コロナにより非常に大きな打撃を受けましたが、観光支援策「全国旅行支援」の実施やインバウンド消費の回復に加えて、ポストコロナ社会に向けた企業の対応など、新型コロナ禍から脱する動きが見えてきました。

さらに、全産業ベースの景気DI(44.6)と比較すると、観光DIは3.8ポイント高く、2カ月連続で上回っています。観光産業における景況感の回復が急ピッチで進んでいる様子がうかがえます。

「宿泊サービス」の景気DIが62.1で過去最高を記録、文化・スポーツ・娯楽サービスも60に迫る

図表2
観光DIの内訳をみると、「宿泊サービス」(62.1、前月比2.6ポイント増)は60を超え、過去最高を記録しました(図表2)。さらに、ゴルフ場や劇団、テーマパークなどを含む「文化サービス/スポーツ・娯楽サービス」(59.8、同3.1ポイント増)も過去最高となっています。以下、外食などの「飲食サービス」(50.0、同1.4ポイント増)は2015年8月(50.3)以来、7年8カ月ぶりに50台に達したほか、「旅行代理店その他の予約サービス」(48.4、同1.8ポイント増)が続いていました。

他方、唯一悪化した「旅客輸送サービス/輸送設備レンタルサービス」(47.9、同2.1ポイント減)の企業からは「従業員(乗務員)不足が響いた」(一般乗用旅客自動車運送)などの声も聞かれました。

観光産業の企業からは、「インバウンドが春の観光シーズンと相まって、バスの予約が大量に入っている」(一般貸切旅客自動車運送)や「観光需要の回復にともなう宿泊需要の増加が顕著に見られる」(旅館)といった、新型コロナの収束や全国旅行支援などを受けた人出の増加が大きなプラス効果をもたらしています。

一方で、「宿泊サービス」や「飲食サービス」などでは厳しい人手不足に直面、機会損失も発生しています。今後、こうした下押し要因により改善の動きが鈍化する可能性もありますが、観光産業の景気は緩やかに拡大していくと見込まれます。


[1] 「観光産業が示すウィズコロナ時代の幕開け~景気のミカタ~」(2022年11月18日)

[2] 観光産業は非常にすそ野が広く、特定の業種分類として表すことは困難であり、個々の産業に 関する統計整備にとどまるため、ここではUNWTO(世界観光機関、World Tourism Organization)が示している国際基準であるTSA(旅行・観光サテライト勘定、Tourism Satellite Account)において観光産業(Tourism Industries)に分類されている業種に基づき、観光産業として定義している。

[3] 観光DIは、[2]で分類した観光産業に属する企業の景気判断を総合した指標。観光DIは0~100の値をとり、50より上であれば景気が「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる。

(情報統括部 情報統括課 主席研究員 窪田剛士)

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