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2021.03.24

∞∞ Data Designers ∞∞

~電通デジタル 押山 裕之氏~

データ活用を中心にマーケティング支援を行う株式会社電通デジタル サービスマーケティング事業部 コンサルティングマネージャー 押山 裕之氏へのインタビューです。

インタビューは前後編の2部構成としており、後編となる今回は、支援の内容やデータ活用の可能性についてです。


▼前編はこちら
“データは友達” DX時代のBtoBマーケティングを科学する~電通デジタル 押山 裕之氏~(前編)
-企業を支援するうえで重視している領域やポイント、苦労されていることを教えてください

顧客がマーケティングのプロセスを理解してビジネスをするかという点を重視しています。例えばマーケティングオートメーションで連続するメール配信をして、顧客との接触機会や問い合わせ増加が実現できたとしても、リードのフォロー方法やタイミングが決まっていないと、商談化をして最終的に顧客から利益をいただくことにつながりにくくなります。また、フォローするにしてもその顧客や所属企業に関する情報や行動履歴がないと営業側でも効率的なフォローをできない状態になってしまいます。

そのためにリードマネジメントがあり、顧客データの統合や見える化が必要になります。とは言いつつも、精巧な戦略をたてても、部署や役割の壁というのはどうしてもあるので、現場における調整は必要になります。現場における調整は外部がサポートしにくい領域なので、中にいるマーケティング担当者の想いや熱意、コミュニケーションが重要な要素であると思います。


-支援する内容はどのようなものが多いでしょうか

現状は、プロモーション関連とデータ管理を含めたプロセス変革が半々という感じですね。BtoB企業の場合、いきなり変革に手を付けられるかというとそれほど簡単ではないので、基本的なレベルを整理することから始めます。例えば、トライアルなプロモーションやPoC(Proof of Concept)を行ったり、Webサイトをきっちりと作り上げるといったことに関わらせていただきます。そのような施策はある程度できている場合や経験・知見がある企業が全体の見直しに取り掛かることになります。DXも同様で、先ほどソフトとハードの面と言いましたが、結局一足飛びとはいかないので、必ず順番に着手していかなければなりません。
マーケティングプロセスの最適化というのが、データの統合含めてBtoB企業はまだまだ取り組めていないことが多いのが実感です。具体例をあげると、複数の部署でセミナーを数多く実施していても、セミナー単位だったり部署単位で顧客を見てしまったりするので、その顧客が自部署以外の領域に興味持っていてもスルーしてしまうケースもあります。
本来であれば、施策をアカウント単位で把握するABM(Account Based Marketing)の考え方が必要になります。特に商材の幅が広くなってくるとこのようになりがちで、穴の開いた漏斗で有望なリードを垂れ流してしまう状態になってしまいます。

-では、具体的にどのようにデータを活用していくべきでしょうか

BtoBマーケティングでいえば、基本的には顧客にかかわるデータを活用することになります。つまり、顧客を軸として初回接触、検討状況、商品・サービスの利用状況、Webアクセスログ、帝国データバンクさんのような外部からの企業情報、名刺データなどがデータの対象になります。そして、そのデータをいつでも誰でも活用できる環境を用意することが大事ですね。

そのうえでの活用ということになりますが、そのデータの使い方の理解も一方では大事です。企業や人に関する属性のデータがあれば、セグメント・ターゲティングに活用するものになりますし、Webアクセスログをはじめとする行動ログのデータであれば、ユーザーの行動を推定したり、顧客体験を改善したり、コンテンツ制作に活用するものになるということを最低限理解しておくべきです。そういった理解の上でどのような目的で活用するかを考えることができるデータリテラシーは持っておく必要があります。
-環境は便利なツールがいろいろありますが、データリテラシーを高めるためにはどうすればよいのでしょうか

知識と実践のセットが必要だと思います。ラーニングピラミッドの考えにもあるように、座学や読書だけではやはり理解できないので、実際に練習したり、他人に教える方が学習の効率や理解レベルが高くなります。セオリーや基本的な考えを身に付けたうえで、結局一番大事なのはそのデータを使う目的を設定できることです。目的がずれてしまうと、ゴールにたどり着けなくなるわけで、ゴールになるべく早くたどり着くために学習をしたり知識を身に付けたり練習したりするわけで、そこが遠回りになる必要はないと思います。機械学習を学べばデータが扱えるようになることは必要条件かといえばそうでもなく、実践してみて、自分でどう感じるのかを考えていなければ、データを活用する目的が曖昧になってしまいます。


-話は変わりますが、帝国データバンクが保有する大量の企業データを自由に使えるとすると何をしたいですか

すごい悩みますね(笑)。確かに企業属性や信用度、取引関係・グループ系列といったつながりのデータなどはマーケティングにもちろん活用できます。ただ、本当に自由に使ってもいいという話であれば、私はそのデータをオープン化してみたいですね。想いとして、データ活用の可能性や裾野を広げてBtoBマーケティングを活性化、発展させたいからです。オープン化してデータを活用するコミュニティができれば、そのなかで様々な活用のレシピを増やし、BtoBのデータを活用したマーケティングの可能性をどんどん高めていくことができるのではないかと思います。コミュニティでは、突拍子もないことを言ったり、マニアックな分析をするような人たちが出てくると思うので、そういう人たちとBtoBマーケティングにおけるデータ活用の可能性を議論していきたいですね。

御社の場合、データ自体がビジネスであるので、オープン化実現のハードルは高いと思いつつ、夢は広がりますよね。アメリカをはじめとして、データやコミュニティの広がりの歴史をみると、フリーミアムの考え方だったり、裾野を広げるっていう活動が必ず一番初めにあったりします。調査で得た企業データを提供することは、一次産業のようなイメージだと思います。既に産学官連携など色々な取り組みもされていると聞いていますが、農業で言われているような六次産業化のようなことをさらに推進すれば、データの付加価値がもっと高まっていく可能性があると思います。
-TDBカレッジは「ビジネスパーソンのデータリテラシーを高める」をコンセプトに運営しています。ビジネスパーソンに向けてアドバイスをお願いします

まず先ほど言った通り、問題設定がきちんとできるかどうかがデータを読み解くうえでは大切な観点であると思います。それが前提となってはじめて成果に結びつくデータ活用が実現できます。データの本質としては、データがあれば答えが出るというのは妄想でしかないということを理解することだと思います。つまり、データそのものは、雑に言うとそこら辺に転がっている何か程度のものでしかなく、整理したり並べたりすることで、法則やパターンを見出して、意図を付けて解釈することではじめて使えるものになります。ただ、テクノロジーの進化によって、それらを素早く大量に処理できるようになり、人間の力だけではできなかったことができるようになったので、環境は以前よりも整っています。
データに意図をつけて解釈するためには、知識と実践を繰り返して日々トレーニングすることですね。あとは、先ほどとは少し逆説的な話になりますが、データに可能性を信じる部分を持っておくことが大事だと思います。「データがあればなんとかなる」「何でもできちゃうはずだ」ということを信じて繰り返し実行すること、途中であきらめないことです。それは機械学習に任せればいいと思うかもしれませんが、解釈の部分は人間が行うことなので、どんな解釈がでてくるんだろうっていうことを期待しながら、可能性を感じながら取り組むべきだと思います。「あきらめたらそこで試合終了ですよ」の精神です(笑)。


-押山さんにとって「データ」とは何ですか?

データ自体にはそれほど価値はないのですが、それらを目的や意図をもって集めることで、過去の結果から未来の予測を見出せるものだと思います。その点で言えばデータとは、“過去と未来をつなぐもの”と言えると思っています。また、あくまでデータは道具ではありますが、個人的にはビジネスのパートナー、もう少しかみ砕いて言うと“友達”という感覚です。会話を重ねるたびに、いろんなことを答えてくれ、噛めば噛むほど味が出るようなキャラクター、それがデータであるというスタンスで向き合っています。

最後になりますが、BtoBマーケティングにおけるデータの活用は正直なところによるとBtoCほど進んでないのが現状かと思います。しかし、DXという波で間違いなく右肩上がりでデータを扱う機会が増えていくことが目に見えています。その中でデータを軸にBtoBマーケティングが科学され、新しい発見が生まれてくることが実現されるのをとても楽しみにしています。
▼前編はこちら
“データは友達” DX時代のBtoBマーケティングを科学する~電通デジタル 押山 裕之氏~(前編


(聞き手:株式会社帝国データバンク 営業推進部 貞閑 洋平)

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データを読み解き、価値を高めることを「データをデザインする」と意味付け、その分野で先進的な取り組みをして活躍する方を紹介するインタビューシリーズ

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