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  • 新型コロナウイルス感染拡大と調査活動 ~調査会社・横田の在宅勤務~

2020.05.20

[企業審査人シリーズvol.214]

審査課の青山はその日も在宅勤務だった。最近は都内の新規感染者の数値もだいぶ落ち着いてきて、緊急事態宣言も段階的に解除されるフェーズに入ってきた。しかし、第二波があるとか、再びクラスターが発生したとか、なかなか落ち着かない。「これはやはり長期戦なんだろうな・・・」と青山もぼんやりと思っている。
その日の午前中に悩ましい審査案件があった。案件自体が悩ましいというより、添付された調査報告書が2か月前のもので、新型コロナウイルス感染拡大による影響で現況が大きく変わっていると想定される会社だった。課長の中谷に相談したところ、「ひとまず調査会社の横田さんに聞いてみなさい」ということになり、青山は久しぶりに調査会社の横田に電話をしてみた。横田とは課長の中谷をまじえた宴席をともにしたこともあり、携帯電話の番号も交換していた。用件を伝えると横田は「調べてみます」と一度電話を切り、30分後に折り返し電話をくれた。調査報告書は少し古かったが、社内に近況を把握した情報があり、それを教えてくれて、与信判断上は問題のないことが確認できた。調査会社が持っている情報は調査報告書がすべてとは限らない。やはり聞いてみるものだ、と思いつつ、お互いに余裕がありそうな雰囲気を感じて世間話が始まった。
「中谷さんも含めてシフトで在宅勤務をされているそうですね。青山さんも大変ですね」
「いや、最近は慣れてきて、出勤する日が少し億劫になってきました。横田さんの方が大変じゃないですか?いろんな会社を回る仕事が外出自粛では、何もできないですよね?」
「何もできないことはないですけど、私たち調査員も在宅勤務がメインになっていますよ。今日もそうです」
「そうか、携帯電話で普通に出ていただいたので気づきませんでしたが、ご自宅だったのですね」
「そうなんです。私もこの仕事が長いですけど、これだけ長く自宅にいるのは初めてですよ」
「横田さんはいつも飛び回られているイメージだったので、外に出たくて仕方がないんじゃありませんか?」
「確かにじれったい感じはありますね。こういう状況ですからお客さまの方でも取引先が気になるだろうと思いますし、まさに私たちの出番なのですが、そういうときに自由に動けないもどかしさがあります」
「毎日、どのように過ごされているんですか?」
「それが、意外と忙しいんですよ。青山さんのようなお客さまも持っていますので、普通の営業職と同じような動きはありますし、加えて電話やメールでいろいろと情報収集をしています」
「へえ、電話やメールで情報を集められるんですね」
「現地現認を社是としていますから、本当は現地で話を聞きたいのですが、今は私たちが動き回って感染拡大に荷担してしまうのが社会的に一番避けるべきことだというのが我が社の方針です。でも、電話やメールになってもいろいろ情報は入ってきますし、話を聞ける部分があります。対応していただける方々に感謝しつつ、こういう状態になってもどれだけ仕事ができるかが、調査員の腕の見せ所だと思っていますよ、ははは」
男前の横田がさわやかに笑うので、青山も気持ちよくなって一緒に笑った。
「しかし横田さん、調査活動が停止されていると聞いています。僕ら審査の人間は困ってしまいます・・・」
「外出の制限が続いているので今まで通り、とはいきませんが、今は対応できるものから対応していこう、ということで部分的に調査を再開しています。滞留分がある上に平時のように調べられないものもあって、ご迷惑をおかけしますが、できるだけ早くご報告ができるように頑張っているところです」
「そうか、すべて止まっているわけじゃないんですね!」
「緊急事態宣言の解除地域から、平時の動きに戻ってくると思います。ただ、感染拡大防止対策で従来のような接触ができない先もありますし、社内的にも出社制限などで業務量が抑えられている部分があるので」
「与信管理では調査報告書をあてにしているところがありますから、早く平時に戻ることを期待しています!」
「ご迷惑をおかけしています。最近お客さまによくお話ししているのですが、仮に今すぐに調査ができても、影響の大きい会社は環境変化への対応のまっただ中にあります。現状についてはお伝えできても、この先の判断はもう少し状況が落ち着いてからの方が、企業評価は適切にできる部分があります」
「たしかに。街を歩いていても、一時的に休業しているのか廃業しているのかわからないですからね」
「それから、調査活動を停止している間も調査員は情報を集めています。新型コロナ関連で平時を大幅に上回る量の情報が日々集まり、そうした情報はSAFETYサービスをご利用のお客さまに日々発信しています。さきほど青山さんが聞かれたことも、そうした情報があったのですぐに回答できました」
「確かに、うちも重点顧客についてSAFETYの登録をしているので、いくつか情報をいただいています」
「与信管理では調査報告書になって評点が付いていないとお困りでしょうから、そちらを急がなければいけませんが、それができるまで何も情報がないわけではないので、迷ったらお問い合わせください」
「わかりました。今日みたいなものがあったら、また連絡させてもらいます!」
「ところで青山さんは在宅で、会社にいるときと同じ仕事をされているんですか?」
「そうですね、中谷課長がワークフローを作ってくれたので、概ね同じような仕事ができています。ただ、営業部門の稼働が低下しているので、いつもよりだいぶ余裕がある感じにはなっていますね」
「それでしたら、日頃なかなかできないことをやってみてはどうでしょうか。他のお客さまから聞いたのですが、全顧客を一覧にして年間売上高と与信限度、粗利益率、評点などでマトリクスを作り、自社の与信管理上の改善ポイントを洗い出していると聞きました」
「なるほど!確かに、似たようなことは年に1回程度やっていますが、時間があればもっとこういうこともできればいいな、と思っていたことがあります。こういうときにやっておけば良いのですよね。横田さん、ヒントをくれて、ありがとうございます!中谷課長に提案してみます!」
青山が夏休みの課題を見つけたように喜ぶので、今度は横田が電話の向こうでつられて笑ったのだった。

新型コロナウイルス感染拡大と調査活動

新型コロナウイルス感染の感染拡大が始まり、弊社では調査先への感染に配慮しながら調査活動を続けてきましたが、緊急事態宣言の発出とともに調査活動を停止しました。調査活動における現地現認を調査品質の担保としてきた弊社のポリシーと、従業員の出社による社会的な感染拡大リスクを抑えるための措置でした。ただ、今回の事態がある程度長期化するとの予想と、そうした中でもお客さまのご期待に応えていく観点から、現在は現地現認実施と同等の品質を担保できるものから、順次調査を再開しています。お客さまにおかれましてはご心配、ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんが、企業市民として国の緊急事態宣言に対応するものとして、ご理解をお願いいたします。なおコラムの中にもあったように、調査報告書の生産を一時的に停止している期間も、情報収集活動は継続し、弊社内には多くの情報を集積しています。すべてに応えられるわけではありませんが、気になる先がありましたら、まずは弊社営業担当にお声かけください。今後も時代に対応した調査活動を模索してまいります。引き続きご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

新型コロナウイルス関連支援情報

新型コロナウイルス感染症に関連する融資や補助金、協力金などの支援制度に関する情報を都道府県別にまとめました。
https://www.tdb.co.jp/corp/corp09_covidrelatedinfo.html

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