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  • 【ウェビナーレポート】海外与信管理~入門編~

2020.08.27

帝国データバンクでは「海外」をテーマとしたウェビナーを開催しています。今回は、「海外与信管理~入門編~」と題して、海外与信管理をこれから担当する方や担当して日が浅い方向けに、海外与信管理を始めるにおいて知っておくべきことや実務上のポイントをお伝えしました。ウェビナーの一部をレポート形式で紹介します。

■担当講師
営業企画部 マーケティング課 岡田 明

海外取引のリスクとは

図1:直接輸出と間接輸出のメリット・デメリット
一般に、海外取引でのリスクが生じるのは主には直接輸出の場合です。直接輸出は中間マージンがなく、その国独自の商習慣や情報などが得られるメリットがある一方で、信用調査、通関、輸送等の手間がかかり、後払いとなれば回収リスクが生じます。間接輸出は信用リスクを商社がカバーしてくれるため回収リスクが小さく、事務手続きを削減できますが、利益が目減りしたり現地とのつながりが希薄になります。

直接輸出における回収方法と支払に関する考え方の違い

輸出における回収方法はいくつかありますが、回収方法によってリスクが異なります(図1)。
輸出において最も多く利用されているのは「電信送金(通称T/T)」です。送金スピードが速く、前受回収であれば回収リスクが小さく、安心な取引となります。取引実績の少ない企業との初回取引では前受金での取引を開始しましょう。もう一つは「信用状(L/C)」です。銀行が手続きを進める信用力の高さから利用されますが、国家レベルでデフォルトリスクが高い国の企業と取引する場合、銀行自体の破たんリスクを考える必要はあります。

海外では支払期日に対する考え方が日本と異なります。日本では、「支払期日は厳守する」という考えが前提になっていますが、海外では「多少の遅れは問題ない」という考え方があるように感じます。
しかしながら、海外からの入金遅れを放置することは適切ではありません。入金遅れを放置しておくと、商取引上の問題がないと見なされ、後の訴訟などで不利になる場合があります。そのため、支払いが遅れている場合は相手方に遅延を通知しましょう。また、契約内容に支払いが遅延した場合の支払利息を定めておくことも有効です。

海外与信管理に必要な情報

弊社が過去に実施した「海外企業との取引における実態調査」では、海外取引の中で「相手がどういう企業なのかを把握したい」「支払面に問題がないか」ということを日本企業の方は課題に感じていることが明らかになっています。
また、別の調査では、与信管理において信用判断に活用できる情報としては、「財務情報」「格付」「存在確認」「親会社・グループ系列」が挙げられており、これらの情報を元に与信判断をしていることが分かっています。
直接相対することが難しい海外企業との取引では、対象企業が本当に存在するのか、ビジネスはうまくっているのか、支払いでのトラブルがないかなどは知りたいところです。

海外取引で開示される情報

与信管理において相手企業を把握するには様々な情報が活用できますが、その中でも決算書情報は「ビジネスがうまくいっているのか」「財務状態の良悪」を判断する指標として使用できます。ただし、政府への提出義務の有無や、調査への協力度合などが異なるため、国や地域によって入手率が異なります。

ヨーロッパや東アジアでは政府への決算書の提出義務があり、情報開示も進んでいます。しかし、それらの地域の中でも、行政側でのシステム化や民間への開示体制が整っていないことが理由で、情報入手が難しい国は存在します。また、タックスヘイブンの国や、情報開示に消極的な国では決算情報の入手がほぼできません。

対象国によって異なる利用可能な情報

海外取引であっても、与信管理の基本的な考え方は国内企業の取引と大きく変わりありません。しかしながら、国毎に開示される情報が異なり、国によって信用調査報告書の収録項目や体裁も異なります。
ウェビナーでは、アメリカの調査報告書を例に、与信管理の第一歩としての海外企業調査を紹介しました。その報告書の中に結論として記載される「Risk Score(取引リスク)」「Guideline(与信限度額)」の考え方を紹介しました。

まとめ

日本と海外でも与信管理の考え方自体は大きく変わりません。まずは回収リスクの低い前払いでの取引から開始することをお勧めします。取引が何度か行われ、前払いではなく後払いでの取引を求められる場合には、その相手先の信用を調べる必要が発生します。しかし、日本から海外出張して現地を視察することは費用も時間もかかるため、まずは海外企業調査を利用して、相手企業の実態を調べる、これが海外与信管理の第一歩になります。
帝国データバンクでは、世界の有力な調査会社と提携をして、与信管理に有用な情報をご提供していますので、海外企業の調査ニーズが発生しましたら、ぜひお声がけいただけますとありがたいです。

※TDBカレッジでは国別の海外調報告書の読み方についてウェビナーを開催しています。ウェビナーレポートとして紹介していますので、ご関心のある方はぜひご覧ください。

・【ウェビナーレポート】 海外調査報告書の読み方~アメリカ編~
https://www.tdb-college.com/column/?id=1597825665-693893
・【ウェビナーレポート】 海外調査報告書の読み方~中国編~
https://www.tdb-college.com/column/?id=1595318170-799794

・海外信用調査報告書の詳細
 https://www.tdb.co.jp/lineup/overseas/index.html

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