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  • 貸借対照表項目の分析|財務会計のイロハのイ

2022.04.05

初心者向けシリーズ「財務会計のイロハのイ」 Vol.22

貸借対照表項目である「自己資本比率」と「固定比率」の分析比率について説明しています。自己資本に含まれる「新株予約権」の扱い方にも触れていますので、1つ1つ理解しながら学んでいきましょう。
先輩社員「さて、財務分析の中身について説明していきますが、順を追って、まずは貸借対照表項目を使った分析比率について説明していきます。ただ、これまで紹介した内容の復習も多くなります」

新入社員「まず教えられたのは『自己資本比率』でした。やはり、この分析項目は外せない指標なんでしょうか」

先輩社員「そうですね。総資産に占める自己資本の割合を示すもので、企業の健全性・安全性・安定性を見極める、基礎的な指標となります」

新入社員「高ければ高いほどよい、という理解で良いんですよね?」

先輩社員「基本的にはそうですが、総資産の小さい新設企業や即金仕入を余儀なくされる信用度の低い企業であっても、計算上は高くなる傾向にあります。企業実態に注意しながら、参考にしてほしいですね」

新入社員「確かにその通りですね。借入金がゼロの企業は、もしかしたら『借りられない』事情があるのかもしれない、というのを聞いたことがあります。ちなみに、念のため計算式は自己資本を総資産で割るんですよね」

先輩社員「厳密に言うと、自己資本のうち『新株予約権』は分子から除外して計算します。どんなものか、知っていますか?」

新入社員「純資産の部の講義の時の、純資産の部が、大きく『株主資本』『新株予約権』『評価・換算差額等』というように分かれている、という話は覚えています」

先輩社員「よく覚えていましたね。ごく簡単に説明すると『新株予約権』とは、これを行使することによって株式を取得することができる権利という事です。文字通りですね」

新入社員「自己資本比率の計算上、除くのは純資産の部の正規メンバーではないからでしょうか?」

先輩社員「面白いたとえですが、イメージは間違っていません。いわば『新株予約権』は仮勘定的な立ち位置ですので、計算上は除外するということになります。ただ、この科目が多額に計上されることはどちらかというと稀ですので、そこまで神経質になることはないと思います。それよりも、架空資産の存在で自己資本比率が水増しされることもありますから、純資産ばかりに目を向けていてはいけませんよ」

新入社員「粉飾のことについても学んでいきたいですが…、まずは初歩の分析指標を頭にインプットします」

先輩社員「他の貸借対照表科目から計算できる指標も紹介しますが、『流動比率』と『当座比率』は以前紹介したので割愛します」

新入社員「短期的な債務支払能力を見極める指標ですね。大丈夫です」

先輩社員「では、『固定比率』を紹介しておきましょう。これは、固定資産を自己資本で割って求める比率ですが、何がわかると思いますか?」

新入社員「返さなくてよい自己資本でどれだけ設備投資できているか、つまり、その会社の安定性をみる指標と思われます」

先輩社員「大正解!先に貸借対照表の構造を覚えておくと、すぐわかりますよね。ちなみに固定比率が100%を超えると、固定資産の投資の一部を他人資本に依存していることになります。低いほど良い、と言えるでしょう」

新入社員「イメージが頭に浮かんでパズルがピタっとはまる様な感覚です!ちなみに、その計算で用いる自己資本ですが、先の説明にもあったように『新株予約権』を除いたほうが、より正確という事ですよね?」

先輩社員「早速学んだことを活かせているじゃないですか。補足しようと思いましたが、先回りされちゃいました。さて、今日は貸借対照表科目のみで求められる分析指標を取り上げました。次回は、損益計算書科目のみ、次々回は組み合わせて求められるもの、という順番で紹介していこうと思います。予習復習しておいてください」

ポイントの整理

■自己資本比率の計算は、「自己資本÷総資本×100」により求める
 その際、自己資本として純資産合計から新株予約権を除いた金額を用いるとより適切に計算できる
■固定比率とは、設備投資を返済期限のない自己資本でどの程度賄われているかを示す指標である

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