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  • 負債の部 前編|財務会計のイロハのイ

2021.10.19

初心者向けシリーズ「財務会計のイロハのイ」 Vol.11

今回から「負債の部」について詳しく解説をしていきます。「負債の部」はどのような構造になっているのか、記載される科目の意味と財務分析に必要なポイントをおさえましょう。
先輩社員「では、今回からは貸借対照表の貸方の上のグループ、『負債の部』について説明していきます」

新入社員「貸借対照表の貸方の下のグループは『純資産』で、いずれも、調達手段なんですよね」

先輩社員「そうです。また、負債の部も資産の部と同じように、流動と固定に分けられます。この意味はわかりますよね?」

新入社員「はい。おおむね1年以内にどの程度の支払いが発生するのか、また、流動資産とのバランスを見る際にわかりやすくするためです。ちなみに流動と固定の区分についてですが、負債の場合、1年以内に返済予定の『短期借入金』は流動に、1年を超えて返済予定の『長期借入金』は固定に分類されるようなイメージで良いのでしょうか?」

先輩社員「そうですね。細かい話ですが『長期借入金』のうち1年以内に返済予定の部分は『1年以内返済長期借入金』といった科目で流動負債に計上されます。この考え方は『社債』や『リース債務』といった科目も同じですので覚えておきましょう。ちなみに、以前紹介した流動比率ですが、どの程度が理想的か覚えていますか?」

新入社員「理想的な流動比率は…、たしか一般的に200%以上でしたよね?」

先輩社員「正解です。ただ、資産の中に架空のものや、資産価値のないものが含まれるケースもあるので、鵜呑みにしないように、とお話ししましたね」

新入社員「負債側の粉飾、というパターンもあるのでしょうか?」

先輩社員「残念ながら存在します。例えば多額の負債を抱えている会社が、実態を隠すために借金の一部を簿外にする可能性がありますね。なんとか金融機関から資金を引き出したくて、その場凌ぎの粉飾に手を染めることもあります」

新入社員「見極めが難しそうですが、どういった点に注意すれば良いのでしょうか?」

先輩社員「例えば、かなり多くの銀行から借入をしている、いわゆる多行取引のケースや、過去から連続で決算書を見て不自然な点がないか、また、可能であればキャッシュフロー計算書を確認するなど、総合的に判断しなければなりません。粉飾については改めて取り上げたいと思いますので、まずは基礎固めを意識していきましょう」

新入社員「そうします!負債はもちろんお金を返さなければいけない科目ですから、少ない方が良いんですよね?」

先輩社員「基本的な考え方はそうですね。資金繰りの観点からは営業債権よりも営業債務の方が多いと、余裕があるという見方もできますが、今回は割愛しますね」

新入社員「負債の部には、営業債務である買掛金や支払手形や、他には金融機関からの借入金が計上されるイメージですが、あっていますか?」

先輩社員「今、挙げてもらった科目に対してはきちんとお金を払う必要がありますが、このほかに、負債の部には引当金という科目が計上されることがあります。これは、将来、費用や損失として計上される可能性が高いものを見積もって計上した科目、と言えるでしょう」

新入社員「引当金という言葉はなんとなく耳にしたことがありますが、具体的にはどのようなものが負債に計上されるのでしょうか?」

先輩社員「例えば、修繕引当金あたりはわかりやすいでしょう。将来の大規模な修繕に備えて計上されることがあります」

新入社員「その言葉は聞いたことがあります!マンションに住んでいると毎年、住人から少しずつ積み立てられますよね。法人の負債科目にもあるんですね」

先輩社員「他にも様々な引当金科目がありますが、今回はイメージをつかんでもらえばOKです」

次回のテーマは、負債の部 後編です。

ポイントの整理

①負債の部にも、流動・固定の区分がある。
②負債の部に計上される引当金とは、将来、費用または損失となる可能性が高い科目を指す。
 ※詳細は関連コラムをご参照ください。

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