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  • 注記表に記載される内容とは?|財務会計のイロハのイ

2022.10.18

初心者向けシリーズ「財務会計のイロハのイ」 Vol.35

決算書を確認する上で忘れがちである「注記表」について説明しています。注記の内容は様々ですが、見ておくべきポイントを押さえて、注記表を確認する意識を持ちましょう!
先輩社員「さて、貸借対照表、損益計算書からはじまり、キャッシュフロー計算書と株主資本等変動計算書を確認してきました。もう一つ、忘れがちですが注記表についてもお話ししておきましょう」

新入社員「決算書のオマケ的なイメージで、あまり注目したことはありません…。採用している会計方針の説明が記載されていたりするんですよね?」

先輩社員「そうですね。重要な会計方針に係る事項に関する注記や、会計方針や表示方法の変更に関する注記、また、貸借対照表や損益計算書に関する注記など様々です。過去からの推移で、大きく目立つ項目があれば、関連する基準変更があるかのチェックに加え、手形取引を経常的に行っている会社では、その割引高や裏書譲渡高が注記に記載されることもあります」

新入社員「確か、割引というのは手形を金融機関で早期に現金化すること、また裏書は他の会社に手形を渡すケースだと思いますが、買掛金の支払い等に充てられるんですよね。ここら辺って重要なんでしょうか?」

先輩社員「その会社の資金繰りを見極めるときには特に注意が必要です。例えば、貸借対照表の受取手形は少ない一方で、割引の金額が大きければ、早期現金化のニーズが高い会社かもしれません。割引や裏書によって手放した手形であっても、不渡りになったら戻ってきますからリスクは残っていることになります」

新入社員「そうなんですね!受取手形を含む売上債権の回転期間が少ないというだけで安心しないよう、極力注記にも目を向けるようにします。他には、見ておくべきポイントはあるのでしょうか?」

先輩社員「減価償却累計額や資産の明細などがあれば、特に製造業など固定資産が大きい業種ではチェックしておきたいですね。貸借対照表には、取得価額と減価償却累計額を両方記載するケースもあれば、取得価額から減価償却累計額を差し引いた金額を記載するケースもありますからね」

新入社員「なるほど。確かに、中小企業の製造業で、ほとんど固定資産が計上されていなくて疑問に思ったことがありました。詳しく調べてみると、どの機械も大切に使っていて、償却が完了していたというケースでした」

先輩社員「中小企業だと、注記表を確認出来ないこともあると思いますが、上場企業になると、注記のボリュームも大きくなり、その重要性も高くなってきます。他には、担保に供している資産や、係争案件の進捗状況など、決算書本表では表現しきれない内容が書かれていることもありますからね」

新入社員「そんなに書かれていることがたくさんあると、どこまで確認すべきか悩みますね」

先輩社員「やはり、どのような視点でその企業を見るかによって、どこまで確認すべきか、つまりどれだけ時間を割くかがわかるようになってくるでしょう。それができるのは、ある程度ベテランの域だと思います。ですので、初心者のうちは、時間をかけてもよいので、極力目を通すとよいと思いますよ。特に上場企業の注記は、有価証券報告書などから容易に閲覧できます。確かにわからないことも多いと思いますが、それをきっかけに学習を進めるという方法もあるでしょう」

新入社員「どんなことが書かれているのかを、まずは知るのがよさそうですね」

先輩社員「そうそう、上場企業によっては、グループ企業を含めた連結決算書と、単独決算書が作成されることがあります。学習という観点からなら、連結決算も、それはそれで論点が多いので、まずは単独の財務諸表と注記を見ていくことをお勧めします」

新入社員「おおむね財務諸表を学んできて、かなり知識がついたかと思いますが、連結決算などまだまだ勉強すべき内容がありそうですね」

先輩社員「確かに、いきなり有価証券報告書を目にしたら、難しいと感じるかもしれませんが、これまで学んできたベースの知識はこれらを読むうえで、必要なものです。貸借対照表や損益計算書の基礎知識をしっかり復習しつつ、注記があれば、それにも目を向けるようにして、少しずつ知識の範囲を広げていってください」

ポイントの整理

■注記表には、重要な会計方針に係る事項に関する注記や、会計方針や表示方法の変更に関する注記、また、貸借対照表や損益計算書に関する注記等が記載される。

◆関連コラム

企業審査人シリーズvol.94:企業会計7つの一般原則(後編) ~青山の夏期講習~
注記などに重要な情報の記載を要請する原則があります。記載する目線からも学んでいきましょう。

企業審査人シリーズvol.124:財務諸表の注記の話 ~見落とすべからず~
注記に記載するルールや注記の必要性などに触れ、より詳しく解説しています。知識を増やすためにもぜひご確認ください。

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